LAパラリンピック28の出場権を目指して日本は3連勝で準決勝へ。 ブラサカ男子アジア選手権グループリーグ総括

Asia Championships
ハットトリックをオーストラリア戦で決めた平林の全身をダイナミックに使うシュート

4月19日大阪駅に隣接する大阪グランフラントうめきた広場で開催されるIBSA ブラインドサッカー男子アジア選手権 2026 in うめきたが日本対インドで7日間の戦いの火蓋が切って落とされた。この戦いで優勝したチームが、オリンピック、パラリンピック含めて最初のLA28のチケットを手にする。日本は2005年を最後に11回アジア選手権に出場して一度として優勝していない。「いつも中国、イラン、タイといったライバル国に夢を絶たれてきました。だからこそ、アジアで勝つこと、優勝することに人一倍強い想いがあります。」とキャプテンの川村怜が開幕前コメントで語ったようにここで優勝してパラリンピックのチケットを取ることが日本にとって悲願だ。

うめきた広場特設スタジアム。選手は手の届くとこに。静寂と熱狂のウェーブを体験できる

 

大会のフォーマットは?

参加する8チームが2つのグループに別れて総当たりで戦い。それぞれのグループの勝ち点の上位2チームが準決勝ラウンドに進む。2月19日実施された組み合わせ抽選会で決まったグループ分けと、3カ国の世界ランキングは以下の通りだ。

グループ1 日本(3位)、イラン(10位)、インド(11位)、オーストラリア(32位)

グループ2 中国(5位)、タイ(7位)韓国、(17位)、ウズベキスタン(24位)

ただ、残念ながら何度も日本が煮湯を飲まされたてきたイランが不参加となった。昨今の世界情勢を踏まえ日本ブライドサッカー協会(JBFA)は在日イラン大使館と連絡をとり受け入れの準備を進めていたがイランから参加辞退の連絡はなかった。4月18日の公式到着日までに来日しなかったため、イランの不参加が決定し、対戦を予定していたそれぞれの国は、6-0の不戦勝として扱われることになった。

4月19日から22日までのグループリーグの結果、日本はグループ1の1位としてグループ2の2位タイと対戦し、日本の最大のライバル中国はグループ2の1位通過で、グループ1の2位 インドと対戦することなった。スケジュールは以下の通り。

準決勝1 中国 vs インド 4月24日 15時半キックオフ LIVEはコチラ

準決勝2 日本 vs タイ 4月24日 19時キックオフ LIVEはコチラ

日本の試合は?グループ1振り返り

日本は19日開幕戦でインドと、1日開けた21日にオーストラリアと対戦、22日に予定されていたイラン戦は不戦勝となった。

日本 2-0 インド 

1-0とした川村怜(10)のガッツポーズ

中川英治監督が「緊張している中内容はともかく勝ち点3取れたのはすごくよかった」という言葉通りの2-2のボックスタイプを基本とするインドの守備に苦しめられ試合だった。第1ピリオド、開始2分に平林太一(9)がシュートを放ってから平均すれが2分に1本はシュートを放つ展開。インドが5分に1本の割合なので日本が押すがゴールを割ったのは10分、齊藤悠希(7)のパスを左フェンス前16mあたりで受けた川村怜(10)がカットインして30度の角度からファーに右足シュートを相手DFの股間を抜けて決める。

初ゴールは頼れるキャプテン川村怜の右足だった

その後インドは引かずに日本陣地に1人は残し、期をみてロングシュートを放つ。結局1-0で折り返す。

第2ピリオド4分に相手のコーナーCKからルーズになったボールを自陣で回収した平林が快速ドリブルを飛ばして左60度からファーサイドへ右足にてシュートを決めて2点目を挙げた。その後「相手のスペースをつき追加点を取りたかった」と中川監督と振り返ったがインドの粘り強い守備もあり2-0のまま試合を終えた。

得意のドリブルから平林の右足も炸裂。彼の武器はそれだけではないはず

先制点を挙げた川村は「初戦ということもあり緊張感ある中、力が入りがちだった。このシュートは(適度に力が抜け)いい弾道、いいタイミングで受けたが、その後はまた気合いが入りすぎて、続かなかったことが課題」「準決勝、決勝とさらに強度が上がっていくのでしっかりとか切れるように準備したい」と振り返った。

代表公式戦デビューの林健太(6)この日はゴールはお預け

日本 10-0 オーストラリア

準決勝進出を決め、サポーターの前で髪の毛の色のメダルを誓う後藤将起(8)

オーストラリアは、日本代表のガイドを振り出しに日本の代表コーチ、育成に携わった藤井潤氏が2023年より監督を務める。今回のメンバーも今年の2月にセレクション、3月に選抜さたメンバーでキャンプをはって今回に備えた。クラブチームが存在しないオーストラリアは通常の練習をブリスベン、アデレード、シドニー、メルボルン、それぞれでハブセッションと呼ばれる練習会を毎週を行いキャンプでできないことをカバーしてきた。紅白戦を行う人数が揃っていないため、この日本戦がオーストラリアにとっての初めて5対5のブラインドサッカーを行う場となった。更に、キャプテンが公式練習で怪我をし、急ごしらえのフォーメーションでの対戦であった。

オーストラリア監督藤井潤、かつて一緒に仕事をした中川英治監督(奥)と初采配で激突

そのオーストラリに対して、日本は第1ピリオド2分、大阪出身の高橋裕人(11)が代表公式戦初ゴールを決めて先制、ついで後藤将起(8)が3分にフリーキックから、ついで6分には左からの豪快にネットを揺らして3-0。更に11分に林健太(6)が右45度からゴールの上にシュートを突き刺し、16分に平林太一も左の得なコースでシュートを決めて5-0と引き離す。

後藤将起(8)の2点目、高校までのサッカーで身についたフォームからのシュート

 

第2ピリオドになっても攻撃の手を緩めず、川村怜(10)が3分に、そして途中交代でピッチに立った高橋が12分、13分にゴールを決めて公式戦初のハットトリックを決めた。更に平林も16分、19分にゴールを決めて10-0と圧勝した。

公式戦初のハットトリックを決めた高橋裕人(11)

 

去年同じうめきた広場で開催されたエリートカップ2025では惜しいところでゴール外し悔しい思いをした高橋は「(初戦インド戦の)途中出場はちょっと緊張して不完全燃焼だったが、今日は入りから普段と同じように(このうめきたの騒音があるなか)音が聞けたし、落ち着いてプレーできた。コンディションもうまく大会に向けて持って来れて、家族、チームメイトが見にきている中決められて嬉しい」と喜びを語った。これで日本は平林、川村、後藤についで決めることが選手がまたひとり増えた。林健太も公式戦初ゴールをあげた。彼らの活躍が準決勝、決勝につながることを期待する。


去年この地で一点の遠さをいやというほど味わった男が一回り大きくなって帰ってきた

 

第1ピリオド後半の1シーン。左から林(6)、代表デビューの北郷宗大(14)、大元壮(5)、そして高橋裕人(11)平均年齢20.3歳。これに平林、残念ながら怪我で直前に離脱した丹羽海斗らが次世代を担う

初戦を終えた藤井監督は「第一ピリオド急ごしらえの布陣で混乱して失点を重ね、自信を失った部分もあるけど、途中守備をコントロールできた時間もあり自信につながった部分もあると思う。そこは評価したい。今日できたことを次に繋げていきたい」と前を向いていた。

インド 5-0 オーストラリア

終了後、仲間で讃えあうオーストラリア代表。左から2人目はSharman Jazanは大会最年長の53歳!

グループ1最終戦となった4月22日の試合。日本戦と同じフォーメーション3-1で入ったオーストラリアは、GKのFillip Rappoを中心とした守備が安定し、第1ピリオド残り2分を切るまではインドの攻めをしのぎ時折、インドゴールへ迫る動きも見せた。ただ、相手FKキックからオウンゴールを献上し、その後終了直後にもインドが得点を決め2-0とインドリードでで折り返す。第2ピリオードに更に7分、11分、15分と得点を決められ5-0でインドがグループ1 2位の座を確保した。

 

中国、タイのグループ2は?

日本が、準決勝、決勝とあたる中国、タイはどうだったのか?この2チームが対戦した4月20日の試合をレポートする。

中国 1-0 タイ

針の穴を通すようなコントロールでシュートを決めたリャン・ジョン(7)

グループリーグ初日の大一番。2022年のアジア・オセアニア選手権決勝のカード。その時は第2ピリオド終わった時点でスコアレスドロー、PK戦は2-1で中国が勝利を収めている。その試合に出場した選手が多くをしめる両チーム。中盤でのボールの奪い合いが激しいゲームとなった。

中国陣内に侵入するタイのボーディー(9)を遮るジャービン・ジャン(6)

第1ピリオド 2分にリャン・ジョン(7)がまずシュートを放つがタイのGKポンチャイにブロックされる。その1分後にタイのマゴン(14)がシュートを放つも中国のDFに当たって跳ね返させる。7分に自陣12m付近でボールを回収したリャン・ジョンがするすとドリブルで持ち上がり、そのまま左からカットインしてファーサイドのポストとGKが伸ばす手の隙間に右足でシュートを放り込み1-0で先制する。その後中国が押し気味に第1ピリオドを終える。

第2ピリオドも中国が枠8本シュートを放つがGKポンチャイが全て防ぐ。

タイのブアイ(10)のチェックの前にシュートを放つハイフー・リー(8)

一方のタイは、ボーディー(9)、クパン(7)、マゴンがシュートを放つも中国ゴールを捉えられない。中国の攻めは基本1人のことが多いため、攻守が切り替わっても高い確率で侵入するタイの選手を残った選手が正面から捉えることができる。タイの選手のシュートも遠目からで中国DFに当たって大きく外れる結果となる。結局そのまま試合は進み1-0で中国が勝利した。

試合後、握手をかわす中国のガイド リーミン・ウー(左)とタイのGKポンチャイ(1/右)。前回のアジア選手権ではGKとして決勝で対戦した2人

中国の監督グイシュン・ワンにインタビューにこのうめきたの環境について聞いてみた。通常は大学の屋外のコートで大会を開催することが多いため、「少々騒音でうるさいと感じる。ただ、一目に触れることでブラサカへの興味喚起ができるのなら許容できる」とコメントが帰ってきた。パリパラの出場選手に替えて若い選手を代表初招集している。特にタイ戦でズーチー・ユエン(10)がデビューしたことについては「アスリートの世界ではよくあることだ」と応えるにとどまった。

2013年のアジア選手権から中国代表を率いるグイシュン・ワン(右)

中国、タイの他の試合は?

中国は、2戦目となるウズベキスタン戦で第2ピリオド、フィールドプレー(FP) 4人全員を入れ替えるなど残り2試合でより多くの選手にプレー機会を与えていた。出場したうち7名が1点以上を得点している。中でもハイフー・リー(8)と今回代表に選出されたジアソン・ジャン(11)の2人が2点を決めている。

選手の起用としては東京パラ、パリパラを経験したジャーファン・タン(2)、モン・リウ(3)、ジャービン・ジャン(6)を軸に、リャン・ジョン(7)、ズーチー・ユエン(10)、 ジアソン・ジャン(11)という若手を充ている。この中国に対して日本は公式戦の対戦成績1勝6分10負。6分のうちPK戦は3度あり、すべて敗れている。まさに最後に立ちはだかるアジアのラスボス。この中国を攻略するには個人のドリブルだけでは難しいだろう。二枚、三枚と攻撃の厚みをます、今までにない個人技をあてるなどの変化をみせて攻略して欲しい。

若手の中では最初に起用されたズーチー・ユエン(10)。林健太と同じ17歳

シャツを引っ張られてもグイグイ進みこの後得点をきめたキャプテンのジャービン・ジャン(6)

そして準決勝で戦うタイ。こちらは中国の組織力に比べると個別の力に依存するところがある。グループリーグでの得点はボーディー(9)が2点、。クパン(7)、ワンチャナ(6)が1点ずつあげている。ただ、得点はないもののフィクソに構えるキャプテンのブアイ(10)の対人能力とマゴン(14)空間把握力は素晴らしい。また、GKのポンチャイの特に高目のボールへの反応の速さも特筆すべきもの。去年のエリートカップ2025でのシーンを見返すと、相手の虚をつきDFが動けないタイミングでのシュート、DFがGKのブラインドになるようなシーンでのシュートがキーになるようだ。タイも当然対策してくるだろう。そこをどう掻い潜るか、期待したい。

ボーディー(9)のシュートフォーム、低いフォームが特徴

ともかく体が強いクパン(7)シュート力もあるが、方向性に難がある

 

 

 

会場はうめきた広場

ゴール裏からうめきた広場を眺める。右の櫓にプレミアム観覧席が見える

会場は3年連続で国際大会が開催される大阪グランフロントうめきた広場。去年は6日間でのべ17万人が観戦に訪れた。今年は南西側のエンドラインの一部をサポーターズエリア(立見席):1,500円/枚、プレミアム観戦席(着座席):2,000円/枚として売り出している。また、例年通り、フェンス際の攻防など30cmほどの近さで観戦することも可能だ。

プレミアム観客には試合後選手が挨拶に来る

「僕の知り合いもたくさん来てくれて本当に力になる。もっとたくさんの人が来てくれて、声を聞かせてくれると、僕たちはもっともっとエネルギーもらえるので。みんなで最後、喜びを分かち合いたいなと思います」とキャプテンの川村も試合のインタビューで語っていた。兵庫県神崎郡福崎町出身の齊藤悠希(7)も「ぜひ皆さんの声で僕たちの背中を後押ししてください!一緒に勝利を分かち合いましょう!応援よろしくお願いします!」と準決勝を前に勝っている。まず4月24日19時、うめきた広場に集結しよう。

齊藤悠希(7)代表ではフィクソが多いがチームでアラを務め攻撃力もある。彼のゴールもみたい。

オーストラリア戦で得点を決めた平林。この兜を被るシーンを一つでも多く目撃したい。

準決勝1 中国 vs インド 4月24日 15時半キックオフ LIVEはコチラ

準決勝2 日本 vs タイ 4月24日 19時キックオフ LIVEはコチラ

グループリーグ結果:

 

4月19日

グループ1 日本 2-0 インド 

4月20日

グループ2 韓国 1-1 ウズベキスタン

グループ2 中国 1-0 タイ

グループ1 オーストラリア 6-0 イラン(オーストラリアの不戦勝)

4月21日

グループ2 中国 5-0 ウズベキスタン

グループ2 タイ 2-0 韓国

グループ1 インド 6-0 イラン(インドの不戦勝)

グループ1 日本 10-0 オーストラリア

4月22日

グループ2 中国 4-0 韓国

グループ2 ウズベキスタン 0-2 タイ

グループ1 インド 5-0 オーストラリア

グループ1 イラン 0-6 日本 (日本の不戦勝)

 

結果:

グループ1 

1位 日本 勝ち点9 得失点差+18

2位 インド 勝ち点6 得失点差+9

3位 オーストラリア 勝ち点3 得失点差-9

4位 イラン 勝ち点0 得失点差-18

 

グループ2

1位 中国 勝ち点9 得失点差+10

2位 タイ 勝ち点6 得失点差+3

3位 韓国 勝ち点1 得失点差-6

4位 ウズベキスタン 勝ち点1 得失点差-7

 

なお、本稿に執筆にあたり増田茂樹氏に中国選手についてご教授いただいた。この場を借りて御礼申し上げます。

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