10月23日 テラスポ鶴舞(名古屋市)にて愛知名古屋2026パラスポーツ競技大会のブラインドフットボールは6日目最終日を迎えた。イランとタイの間で3位決定戦が、中国と日本の間で決勝戦が行われ、それぞれ、イランと中国が勝利した。中国は杭州2022についで2連覇。日本は4月のアジア選手権決勝、今回の予選と決勝と中国との今年の対戦で3連敗となった。
■3位決定戦 イラン 2-1 タイ
予選では初日に対戦しタイが1-0で勝利した。イランのガイド、SHOJAEIYAN Meysamは「久方ぶりの国際戦で緊張したため思うようにできなかった」と中国戦後に語った。この試合、先制したのはまたしてもタイ。前半9分、BAODEE Kittikornが右足でファーサイド低めに流し込んだ。

間隙イランディフェンスの間隙をつきファーに沈めたBAODEE(20/中央青)
イランは11分、投入されたばかりの40歳、RAJAB POUR Hosseinが守備の中央に空いたスペースから右足でファーサイドへ決めて同点とする。出場約2分、唯一のシュートでの得点だった。13分には、いったんベンチに下がって再びピッチに戻ったKARIMIAMALEH Mortezaが、右へ流れながら相手をかわし、左足でファーサイド低めに蹴り込んで勝ち越した。KARIMIAMALEHはこれが今大会6点目。大会得点王を確実にする1点だった。

同点に追いつくゴールを決めたRAJAB POUR(左)

逆転した後も積極的にゴールに迫るKARIMIAMALEH Morteza(8)。
後半は両チーム無得点。シュート数はイラン14本、タイ10本。イランは予選リーグの借りを返して3位の座を確保した。

試合終了後、歓喜で倒れた選手をフォローする、イランの女性スタッフ。
■決勝戦 中国 1-0 日本
日本の先発は、 GKに神山昌士、フィクソ 齊藤悠希、右アラ 川村怜、左アラ 林健太、ピヴォに後藤将起。初戦の中国戦と比べて、GKが泉健也から神山に、アラが負傷の平林太一に代わって林が入った。中国は予選と同じメンバーで、GKがXU Huachu(背番号12)、LIU Meng(3)、ZHANG Jiabin(6・主将)が低い位置に、YUAN Ziqi(10)、TANG Zhihua(2)が前に立つ2-2のフォーメーションで試合が始まる。

試合前の円陣。平林(9)にユニフォームを着る泉健也。GKの佐々木智明(13)、藤原幸紀(16)、FP 永盛楓人(2)、丹羽海斗(3)など参加できなかった強化指定選手のユニフォームもテント内に掲げ全員で中国に挑む
前半、日本は狙い通りに展開した。ファーストラインの後藤が強くプレスをかけ、アラの川村、林も押し上げる。奪ったボールはミドルエリアでつなぎ、主導権を握る時間帯もあった。ただ、日本の最初のシュートは開始10分。前半のシュートは3本で、枠内はゼロ。中国は同じ20分間に12本を放った。日本は無失点でしのぎ、0-0で折り返す。

シュートにはカウントされていないが、ゴール前のパスに合わせようとする高橋裕人(11)。これが決まっていればと思わずにはいられないシーン。

遠目のシュートストップは「得意」と語る神山が中国を前に立ちはだかる。
後半も構図は変わらない。中盤で相手のフィクソを引きつけ、林が縦に仕掛ける。指揮官が描いた形は何度か見えたが、アタッキングサードに入るとサイドチェンジのパスはマイナスになり、ゴールへ向かう推進力に繋がらない。シュートも遠目で相手の脅威になりきらない。13分、右の川村から左の林へのサイドチェンジのパスが後ろにずれたところをTANGが奪い、右からカットイン。シュートは齊藤の左足に当たってコースが変わり、ゴールファーをケアしていた神山の逆を突く形でボールがニアに転がり込み三度中国が先制する。直後の林のシュートもGKに阻まれる。シュートは日本が8本に対して中国は19本。CKは10本対4本と上回りながら、最後まで1点が遠かった。

韓国戦、タイ戦、イラン戦とここぞという時に決めた川村は攻撃の起点になるも、決定的なシュートは放てず。

後半の林健太(6)のこのシーンは会場を沸かせたが、遠目のシュートでGKにしっかりキャッチされた
振り返って、得点シーンだけをみれば、不運な失点と言える。だが、そこに至る過程は不運と片付けられるだろうか。4月のアジア選手権決勝は後半の予期せぬ交代直後の守備のズレを突かれて、ZHANGの左サイドからのカットインをフリーで許して失点。今大会の予選は判断のズレを突かれてZHANGに右サイドからのカットインを許し失点した。半年で3度、中国は日本の守備のズレを拾い、同じようにゴールへ向かってきた。

ゴールを決めて喜びぶTANG(2)とガイドのWU Limin。
実は、相手の顔ぶれは大きく変わっていない。LIU、ZHANG、ZHUの3人は東京2020、パリ2024、今大会と3大会続けて主力を担い、決勝点を挙げたTANGも東京から名を連ねる。日本で3大会続けてピッチに立ったフィールドプレーヤーは川村ただ1人だ。中国は骨格を残したまま17歳のYUAN Ziqiを加え、出場時間で加重した平均年齢は5年間27歳前後で変わらない。日本は登録選手の平均年齢こそ27歳台まで若返ったが、出場時間で見ると32歳台にとどまる。これは日本の主力、川村、後藤、齊藤の年齢と交代選手層が少ない事にも起因する。予選第3試合、韓国戦で平林が負傷離脱すると、フィールドの交代は事実上高橋1人になった。若返りが登録上にとどまり、4月のアジア選手権でも指摘された「5人目」の課題に対して林が長い時間戦ったことが一つの回答になったかもしれない。しかし、中川監督が、6人目、7人目の底上げを計らなければと語ったとおりまだ道半ばだ。
試合後、中川英治監督も川村もアタッキングサードでの「クオリティ」を口にした。しかし中国の狙いは分かっていたはずだ。川村自身、「相手も対応してきた。そこを僕たちがもっともっと対応しなきゃいけなかった」と認める。予選で温存した手札は、決勝の試合中に消された。問われるのは、相手が手を打ってきた後の二の手、三の手では無いだろうか。この試合の日本の1試合平均シュート数は16.3本で、上位4カ国で最少。一方で枠内率45%は4カ国で最も高い。課題は精度ではなく、打つまでの崩しにあるのではないか。

後藤への林からの対角線上のパスに足が届いていれば、と思わせる惜しいプレーだった。
もう一つ、「クオリティ」を高めるとは、練習の強度を上げることだけだろうか。分かっている相手に、分かっている形でやられないためにどう準備するのか。チームとして目標に掲げるLA28でのメダル獲得。その出場権を手にする機会は、27年6月にウズベキスタンで開催されるワールドゲームズ、10月にブラジルで開催される世界選手権とまだ2つある。先日IBSAのサイトで2月下旬に兵庫にてダイセルカップが開催されることが発信された。ほぼ毎日のように練習がある代表。環境は中国に引けを取らない。日頃どう相手を想定した練習を積み、本番でその積み上げを遺憾無く発揮できるようになるか。ブラジルまであと1年、中川ジャパンの成長を追いたい。

日本代表が、この真ん中に立つ姿を見たい


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