19大会ぶりに優勝シャーレが箱根の関を越えた。A-pfeile広島BFCが1-0で品川CC パペレシアルを下して初優勝。第23回 アクサ ブレイブカップ ブラインドサッカー日本選手権

Blind Football

第23回 アクサ ブレイブカップ ブラインドサッカー日本選手権の決勝は1月31日に町田市立総合体育館で開催され、決勝戦初出場のA-pfeile広島BFCが1-0で品川CC パペレシアルを破り初優勝を飾った。西日本のチームが優勝するのは2005年第4回大会で大阪ダイバンズが優勝して以来19大会ぶり。敗れた品川CC パペレシアルは20回大会に続く優勝を逃した。3位決定戦は去年の決勝戦と同じ組み合わせだがfree bird mejirodaiが4-0でコルジャ仙台を破り3位となった。2年連続で地方のチームが優勝したことはブラサカの広がりを示す一方、参加チーム数は21と前回大会より1チーム、最大参加数を記録した21回大会からは4チーム減った。観客数は開催日が1日増えたが前回より微減の1829名(前回は1835名)だった。

 

決勝戦 A-pfeile広島BFC 1-0 品川CCパペレシアル

優勝が決まり喜ぶ広島の選手、ガイド

 

初対戦となる両者。広島の監督木村陽一は「相手のストロングポイントをどうやって消していくか、自分たちのストロングポイントどうやって表現するのかを徹底した」と語り、品川の監督小島雄登は「相手は全員ボールが持てて上手な選手であることは判っていた。強度と裏のスペースを使っていけたら」と想定して入った決勝戦。広島は予選から不動のメンバーGK村尾竜次、フィクソ森島爽平、アンカー矢次祐汰、前線は左に後藤将起、右に林健太のフォーメーション。この5名でこれまでの5試合全てを戦ってきた。対する品川は、GK藤原幸紀、フィクソ 佐々木ロベルト泉、左アラ森田翼、右アラ川村怜、ピヴォ井上流衣のフォーメーション。

4人に囲まれながら前を向きゴールを目指す川村怜(中央青)

 

第1ピリオド、最初に主導権をとったのは品川。攻守のトランジションを速くし広島の攻撃の時は自陣に4人が戻り緩いダイヤモンドを組みながらガッチリと広島の攻撃を受け止めて決定的なシュートを打たせない。逆にカウンターで森田、川村らがシュートを放ち、やや品川がゲームをコントロールする。流れが変わったのが9分にオフザボールで森田のおでこと森島の口がぶつかり、森島は流血。治療のため退場となる。森田も交代して一旦ベンチに下がる。交代選手のいない広島にとっては最悪の事態。すぐさまタイムアウトをとる広島木村監督。「GKと三人で行くフォーメーションを確認した」と振り返る。ラッキーだったのは森島の流血がすぐに治りプレイングタイムで40秒あまりでピッチに戻ってきたこと。ここからは広島が主導権を握り、林や矢次が品川ゴールに迫るが枠を捉えることができず。そのまま0-0で第1ピリオドを折り返す。

 

第2ピリオドは広島林の素早いドリブルからのシュートで始まる。普段はアンカーの位置を好む川村が単騎で相手のゴールに迫り広島は4人で守備にはいる。品川の力と広島のスピードのぶつかりあいだが、広島のスピードを品川がファールでとめるシーンが開始3分。そして5分と後藤が川村に倒される。

後藤(背番号10)とせる佐々木ロベルト泉(背番号7)。後藤の突進がゴールを手繰り寄せた

 

ペナルティーエリアから1mのところでFK。広島のガイド林由香がゴールポストの下の部分を叩く、キッカーの林が左にドリブルして振り抜いた右足から放たれたボールは、品川の4人の選手の間隙を縫いゴール左側に吸い込まれ広島が1-0と先制する。

林(画面右、背番号2)のシュートは相手の隙間を抜いゴール左に吸い込まれた

 

木村監督にかけよる林(背番号2)と村尾(背番号12)

 

「最後5分で逆転するために強度をあげた」と品川の小島監督が語ったが、なかなか品川の攻撃がシュートで終われない。川村から両サイドへのパスはうまく収まらず、時折佐々木がオーバーラップをかけるが、シュートで終われない。ただ、小島監督の言葉通り残り5分を切ってから川村と森田の枠に飛ぶシュートがあったがGK村尾にがっちりブロックされる。残り30秒を切ったところで、広島のGKへのバックパスから品川がゴール間接FKを得るもの広島がしっかり守り切り、そのままタイムアップ。1-0で広島が品川を下し初優勝を決めた。

左から、林由香ガイド、村尾、森島、矢次、林、後藤

敗れた品川小島監督は「フィニッシュのところがうまく行かなかったのが敗因」と分析した。監督がいう通り、2人目、3人目のシュートの精度がいつものようには行かなかった。そこが明暗を分けたのではないかと思う。

殊勲のゴールを決めた林は「自分のシュートで優勝が決まるというイメージは決勝に進むのが決まった帰りの新幹線からあって、ずっとそのことをばかり考えてニヤニヤしていました」と振り返る。広島の木村監督は「2年ぐらい前からやっぱり全国優勝ということをチームとして意識し始めまして、今日夢が実現した」と語った。

「ひょっとしたら胴上げしてくれるのかなとは薄々感じてたんですけど、本当に自分の体が宙に舞った時、夢のようでした。 本当に嬉しかった」と語った木村監督

 

3位決定戦 free bird mejirodai 4-0 コルジャ仙台

最初のゴールを決めた北郷宗大(真ん中)と鳥居健太(右背番号11)

 

去年の決勝戦と同じ組み合わせとなった3位決定戦。前回は第1ピリオド 2分に仙台の佐藤翔、3分に石川竜誠がゴールを決め、その2点を守り切って仙台が初の栄冠に輝いた。今回は準々決勝での怪我で佐藤を欠くコルジャ仙台。一方のmejirodaiも丹羽海斗、永盛楓人、園部優月、島谷花菜らを欠いた状態。「いつも以上に気を引き締めて、絶対に勝ちに行くという気持ちで入った」と鳥居健人は振り返る。「厳しい戦いになる」「0-0を続けどこかでチャンスを待つ」と仙台のGK佐々木智明が語ったようにmejirodaiの強さがでた試合だった。

左から日景淳也(背番号19)、佐々木智明(背番号39)、ガイドの千葉眞理

 

先発はmejirodaiがGK泉健也、フィクソに若杉遥、左アラに大元壮、右アラに北郷宗大、ピヴォに鳥居健人。仙台はGK佐々木智明、フィクソに千田直樹、左アラに日景淳也、右アラに斎藤陽翔、ピヴォに石川竜誠。準決勝ラウンドで躍動した堺龍太は欠場。

第1ピリオド、試合開始から主に、前線の3人が融通無碍にポジションチェンジしながら仙台のゴールに迫り、GK佐々木と千田を中心にその攻撃を跳ね返す展開が続く。しかし6分、mejirodaiの北郷宗大がゴール右隅、キーパーとポストの狭い空間にズバッと決め1-0と先制する。

北郷(左から2人目)がGK佐々木の右手の先を弾いてゴールがきまる

 

その後も北郷、鳥居、大元がシュートを浴びせる。仙台は13分にタイムアウトをとり、その後は石川と斎藤がmejirodai陣内に攻め込むシーン生まれてきた。ただ決定機を作ることができずmejirodaiが1-0とリードして前半を終わる。

 

「正直体はしんどいがチームのために答えようと一生懸命やった」と攻守に躍動した鳥居健人(背番号11)

 

第2ピリオド、仙台は日景に替えて鈴木里佳を投入。キックオフからピヴォに入った北郷を中心に鳥居、大元が仙台ゴールに迫る。毎分シュートを放たれるが、仙台はフィールドプレーヤー4人がしっかり戻り、代表強化指定のGK 佐々木がゴールをまもって10分がすぎる。13分、左サイドからニアポストを狙ったシュートは、佐々木がキャッチしたかに見えたが、ボールはゴールラインを破り、2-0とmejirodaiがリードを広げる。さらに15分には右からカットインした北郷のシュートがゴールファーサイドに入り3-0。

成長著しい北郷(9)。2点目を決めて得点王をつかむ

 

仙台も斎藤があわやというシュートを放つもmejirodaiのGK泉にきっちり防がれる。終了間際に鳥居が4点目を決めて、4-0でコルジャ仙台を破り、3位を確保した。

シュートを放つ大元(23)。彼も攻撃陣の一翼として存在感を出した

「しっかりゼロで勝ち切るってことをこだわってくれっていうのをまず選手たちにしっかり伝えて、その上で試合に入った」と狙い通りのゲームだったとmejirodaiの監督、山本夏幹は振り返る。仙台のGK佐々木は「1点目と2点目を止められるかどうかでゲームが変わった」と悔やみ、「カウンターの基点で守り、フィクソとして守備の要でもあった」佐藤の不在を埋めきれなかった悔しさがコメントから滲み出ていた。

 

23回大会を振り返って

会場を盛り上げたアクサの関係者。応援を先導していた

筆者がブラサカの取材を始めて4年。その間日本選手権の全会場を取材している。毎年、優勝するチームが替わり、2年連続で地方のチームが優勝したことは地域格差が是正されていると見ることができるかもしれない。また8大会続けて連覇するチームが現れないこともチーム差が拮抗してきたことを表していると思う。ただ、それはブラサカが盛り上がっている、ということとは違うのではないだろうか。参加するチームは3年連続で減少している。観客数も横ばい。有料開催のFINALラウンドは去年より微増だが、去年よりスポンサーであるアクサ関連の動員が増えているようにも感じる。今回は会場でのアナウンスによると約400名ほど参加されたそうだ。彼らがブラサカの魅力を感じて、また会社関係だけでなく、自分の所属する様々なコミュニティーで発信をしてくれることを期待したい。

プレースタイルについても一言だけ。今回上位に残った4チームのうち、3チームまではフィールドプレーヤー3人以上が得点を決める能力を持っているチームだ。またサイドチェンジによる崩しを一つのオプションとして持っているチームである。仙台は3人が得点を決める能力をもっているが、堅守速攻で、サイドチェンジを折混ぜての遅攻はそれほど目につかない。今回の順位が今後のブラサカのスタイルを占うものなのか。そちらも今後注目していきたい。

FINALラウンド最終結果
優勝:A-pfeile広島BFC
準優勝:品川CC パペレシアル
3位:free bird mejirodai
4位:コルジャ仙台

  • 個人賞

・MVP:林健太選手(A-pfeile広島BFC・背番号2)

 

・ベストゴールキーパー賞:村尾竜次選手(A-pfeile広島BFC・背番号12)

・得点王:北郷宗大選手(free bird mejirodai・背番号9)※5得点

※個人賞は準決勝ラウンド以降の成績で決定しています。

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