満席の駒沢が揺れた──デフハンドボール日本代表、初の国際舞台へ。東京2025デフリンピック Day2

Deaf-Handball
ここからスタート!デフハンドボール日本代表

11月15日に開会式が東京体育館で行われた東京2025デフリンピック。大会二日目は開会式以前からスタートしていたサッカー、オリエンテーリングに続いて8つの競技が都内各地でスタート。駒沢オリンピック公園の屋内球技場で開催されたデフハンドボールの日本代表のデビュー戦を取材した。

デフハンドボールとは

デフハンドボールはGK1人にコートプレーヤー6人で1チーム。健常者のハンドボールと同じルールが適用される。デフリンピックでは1969年に初めて採用されている。2022年カシアス・ド・スル大会に続いて今回も8カ国が参加する。8カ国を4カ国づつ2つのグループに分て総当たりで戦う。その順位にしたがって決勝トーナメントを戦い、1位から8位まで順位をつける。日本は、ドイツ、トルコ、ブラジルと予選ラウンドAグループで戦う。デフハンドボール日本代表は、23年12月に本格始動。トライアウトで人をあつめこの試合が初の国際試合となる。相手はサムスン2017デフリンピックで金メダルの経験もある現在世界ランキング4位のトルコだ。

試合の様子

入場時のキャプテン小林優太(2)とGK定野巧(12)のハイタッチ。

試合前の国歌斉唱に次いで、先日亡くなったトルコ代表へ黙祷を捧げた後に試合開始のスローオフ。記念すべき代表初得点は開始2分の大西康陽(背番号11以下同じ)のシュートから。続いて淺井啓太(4)が右から決め、キャプテンの小林優太(2)が7mスロー(サッカーのOKに相当するGKと1対1のスロー)を3つ連続で決めて5-2とリード。1点とられるも津村開(6)が決めて6-3と先行する。

記念すべき一投を放つ大西(11)。合計3点を決める。

7mスローを決めてガッツポーズの小林優太(2) この試合では5つの7mスローを決めた

津村開(6)も自身の大会初得点を決めてガッツポーズ。

ただこのあとはトルコに流れを握られ、8連続失点し6-11と逆転される。齋亮人(9)が7点目を決め、前半終了直前に翁孝嘉(18)が2連続得点を決めて9-16で折り返す。

この試合で8点を決めたMurat(96)

Muratに次いで6点を決めたEfe(13)

後半は開始からトルコが5点連取。その後も得点を重ねられ11-25まで引き離される。そこから日本は盛り返し、24分までに19-27と追い縋るが結局21-30で初戦を白星で飾ることはできなかった。

小柄な津村だが、チームで小林に次いで4点をあげる。

大西と同じく3点を挙げた翁(18)

試合後のインタビューは当方がメディアガイドを熟読せずインタビューのルールに従わなかったためコメントを取れなかったのが残念だが、負けた悔しさと、無事に終えた安堵感のようなものを選手たちの表情から感じられた。

試合後の両チーム交えてのエール

盛り上がる会場

手袋をつけてサインエールを送る観客

この競技場の座席数は2358席。一般観客用に西側半分が用意され、東側の半分が招待、チーム向けという構成だったが、一般席はざっとみてもほぼ満席。運営側のやりとりを耳に挟んだところ当初はここまで観客が入るとは予想していなかったようで急遽、東側の一部も一般観客に開放されたが来場したお客さま全てがはいれず入場制限も行った。公式記録では1303人が入場。16日の累計で3484名の観客が試合を楽しんだ。国歌斉唱の時は、トルコや日本の選手は手話で演奏していたが、会場からの声は一切なく、また、MCが促すこともなく、一瞬のとまどいも感じられた。それ以外では入り口脇で入手できる4色の軍手をつけて会場MCの掛け声に合わせてサインエールを送るなど徐々に盛り上がりを見せた。また選手と客席の距離も近く7割以上の日本代表が首都圏在住ということもあり、選手と観客がやりとりするシーンも試合後に散見され、とてもアットホームな雰囲気を醸し出していた。

観客に手を振る淺井(4)と坂本(10)

駒沢オリンピック公園では、このハンドボールの他、陸上競技、バレーボールが開催されている。そこかしこに手話で会話する方々も多く見かけた。駅前のマクドナルドでも手話で会話する若い人たちのグループを見かけた。もしかしたら今までもそこにいたのかもしれないが、この取材で聴覚障害者への感度があがったので気がつくようになったのかもしれない。少なくとも街の雰囲気が一つ変わった。駒沢オリンピック公園の競技は25日まで続く。会場への入場は無料だ。ぜひ、足を運んでみてほしい。新しい変化に気づくはずだ。ぜひこちらの競技日程から気になるものを探してほしい。

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