コルジャ仙台が1位で地域リーグ7連覇。中学1年生の堺が3得点で公式戦デビュー!

Blind Football
ドリブルで上がる堺龍太(中央 緑)、追いかける木村侑平(黄色)、堺をフォローする斎藤陽翔

2025年6月8日、仙台白百合学園グランドにて、ブラインドサッカー地域リーグ2025 in 宮城が、コルジャ仙台、ナマーラ北海道、スフィーダ世田谷BFC(オープンエントリー)の参加で開催された。総当たり戦形式で行われ、仙台が2連勝で1位、北海道が1勝1敗で2位、世田谷は2連敗で3位にとなった。

参加した主賓、チーム、審判団の記念撮影。

地域リーグとは?

地域リーグとは全国を北、東、中、西と四つの地域に分け、それぞれの地域に所属するチームを中心に1日で順位を決定する大会形式だ。地域ごとに参加を募ることで、地域のチームに試合機会を提供し、普及に繋げる。運営自体もその地域のクラブチームとともに行うことで地域の特色を出すことを目的としている。今年は6月から来年3月まで全国8会場で開催される。6月1日には新潟にて中日本リーグ第一節が開催され、新潟フェニックスファイヤーズ 、ツエーゲン金沢BFC、松本山雅B.F.C、乃木坂ナイツが参加。松本山雅B.F.C.が1位になった。この試合で松本山雅の中学生プレーヤー、蒔田虎太郎が公式戦デビューで得点を決めている。

第1試合 コルジャ仙台 6-0 ナマーラ北海道 、公式戦初の堺が2点

初出場初得点を挙げた堺龍太(中央 緑青)、左はガイドの野田哲史。

今回のホストチーム、コルジャ仙台とナマーラ北海道の対戦で今大会は始まった。この2チーム、22年は0-1、23年は1-3、24年は0-1といずれも接戦を仙台が制しているが、今年はちょっと様相が違った。第1ピリオド2分に斎藤陽翔がフリーキックから右足でシュート、ボールはバー右側に当たってゴールイン。その3分後にもゴール正面4mの位置から相手選手2人を振りちぎってシュートを決め2-0。9分にも決め3点。わずか10分たらずでハットトリックを達成し、仙台が3-0とリードした。

DF2人の間を破って入りシュートを放つ斎藤陽翔(中央 緑青)

さらに今回ピヴォとして公式戦デビューを果たした仙台の堺龍太が左サイドかカットイン、ペナルティーエリアに侵入して右足一戦、ゴールをニアサイドに決める。これで4-0。「試合にでるって決まった時から点をとると決めていたのですっごい嬉しかった」と試合後のインタビューで堺は語った。残り1分で斎藤が、またもペナルティエリア内でシュートを放ち相手DFにあたりながらもそのままゴール。仙台はリードを5-0と広げて第1ピリオドを終える。ピヴィに堺をすえ、アラの斎藤とキャプテンの日景淳也の三人の間でポジションチェンジを繰り広げるフォーメーションを「4月からの練習でうまく落とし込めた」と、こちらもセンターガイドデビューの佐藤翔の弁。

試合前に審判と握手をかわす仙台のセンターガイド 佐藤翔。

第2ピリオド、仙台は、堺に替えて鈴木里佳をアラに送る。フィールドプレーヤーがB2,B3の4選手のみで戦う北海道は、ポジションを替えピヴォに木村侑平をおく。この変更が奏功し、木村が度々仙台ゴールを脅かすことになる。

単騎で仙台ゴールに迫る木村(中央 黄)

仙台は鈴木を堺に替えた6分にゴールから右30度、6mの位置でフリーキックを得る。これをキッカー堺が、左にドリブルして空いたDFの隙間をついて、ゴール左隅にシュートを決め6点目。「考えていた通りの流れからの一番いいシュート」と堺は「どのゴールが一番よくできた?」という筆者の質問に答えた。北海道も木村が左の角度が浅いところからあわやゴールというシュートを放つも仙台のGK佐々木智昭の好セーブに阻まれる。結局、北海道は最後までゴールが遠く、6-0と仙台が大差をつけて勝利した。

仙台のGK、代表強化指定の佐々木智昭(右)がガイドする。

北海道のスタッフに状況を伺うと練習は週1で行っているが4名そろうのは月に1度あるかどうかとのこと。20代後半から30代前半のメンバーが主体で、それぞれ仕事、子育てなどライフステージに変化があったためだそうだ。しばらくは大変だと思うが是非とも以前の勢いを取り戻して欲しい。

第2試合 ナマーラ北海道 4-0 スフィーダ世田谷BFC 北海道が第1試合の悔しさをはらす

4点を稼いだ北海道 木村侑平(右 赤黒)

続く第2試合はオープンエントリーの世田谷が北海道と初対戦。世田谷は2年ぶりの勝利、去年に続く公式戦での得点を目指して参加。前日の練習で細野亜古監督は「やろうとしたことをちゃんとやり切ろう」と選手に伝えて仙台入りした。

去年11月の日本選手権予選からグッとプレーに成長がみられた安倍正一郎(中央 10番)

第1ピリオド、北海道が試合の主導権を取る。ピヴォでキャプテンの木村侑平(背番号22)を中心に積極的に世田谷陣内に攻め入る。右アラに構える世田谷の中学3年生の安倍正一郎(背番号10)や、左アラ稲田宗行(背番号23)、低く構えるピヴォの小岩井亜樹(背番号16)、フィクソの高田修一(背番号3)がくらいついていくが弾き返しきれない。木村は4分に右側から、6分に左側から、そして14分にはゴール正面からとシュートを決め、ハットトリック達成。

得点を決め、ガイドとハイタッチする木村。

第2ピリオドは、木村がフィクソに下がり東海林直(背番号32)をアラからピヴォにあげる。北海道がボールを支配する割合は第1ピリオドよりもやや減り世田谷が持ちが上がる機会も増える。両アラの安倍、稲田がシュートを放つようになるが、枠になかなか捉えない。

チームのムードメーカーで活躍を期待された稲田。シュートを放つもゴールに結びつかず。

逆に10分に木村に4点目を決められ4-0。北海道は古豪の意地を見せる一戦となった。世田谷にとって最後までゴールが遠かった。

第3試合 スフィーダ世田谷BFC 0-7 コルジャ仙台 

開始2分で左からカットインして電光石火のシュートをファーに決めた斎藤(中央緑青)。ガイドも動けず。

最終戦は世田谷と仙台の対戦。仙台は初戦と同じスタメン、世田谷は万力勇之介(背番号1)の替わりに山田若登(背番号13)をGKに起用。この試合でも斎藤陽翔が淡々とゴールを量産。世田谷の山田は必死にブロックするも、4分に左から、5分に右にからと立て続けにゴールを決める。9分に相手DFのオウンゴールがあり、13分にはポストに当たってゴールインで再びハットトリック、仙台は4-0とリードを広げる。

世田谷の山田(赤)も何度となくシュートブロックしたが、、、

第2ピリオドに入ると、開始2分、またも斎藤がゴール右からカットインし、ファーへシュートを決めて5-0。5分にはキャプテンの日景淳也がゴール左からシュートを放ち6-0。最後は積極的に前に出る堺龍太がこの日3点目となるゴールを13分にゴール左に決めて7-0。仙台が世田谷を圧倒して北日本リーグ7連覇を達成した。

チーム7点目となるシュートを放つ堺(緑青)。

仙台は日本選手権の優勝後、県知事、仙台市長への表敬訪問、スポンサーへの挨拶まわり、さらには、WEリーグ マイナビ仙台レディース公式戦や、J2ベガルタ仙台公式戦での優勝報告会を経て、チームは4月から再始動。日本選手権では怪我をおしてチームを引っ張った佐藤翔は今回はコーチに回った。斎藤陽翔が2試合で8点を決め、キャプテンの日景も1点、そして初出場の堺が3点を決めた。

3月2日 セイホクパーク石巻のWEリーグ公式戦で優勝報告をする斎藤陽翔(中央)。

「(堺は)彼のプライド、日本ブラインドサッカー協会から後押し、密着取材などプレッシャーのある中で3点を決めた。素晴らしい、その一言に尽きる」と佐藤は語った。「日本選手権に向けて、Freebirdさんでの練習(堺は、この4月より筑波大学附属視覚特別支援学校に入学、寄宿舎生活を送っている)、ユーストレセン、そして仙台での練習を通じてさらに成長していくのではないか」と期待をかける。本人も「目標はLA28に代表として参加すること」と夢は膨らむ。
2022年から筆者はブラサカの取材をしているが、その中で公式戦初出場で得点を挙げた選手は2023年の世界選手権で公式戦初ゲームで1点を記録した島谷花菜、今年の松本山雅の蒔田、そしてこの堺。その中で初戦で複数得点したのは堺が初めて。実際にインタビューをしてみて実にハキハキと自分の意見を語っているのがとても印象的だった。代表を目指すにはチームの斎藤陽翔という先輩もいる。まずは彼が目標だろうか。チームと共に今後の成長に期待したい。

大会を振り返って

この大会は、「2023年より開始した、「JBFA×クラブチーム×地域」の3者協働の取り組みにより業務委託を受けた、クラブチーム(コルジャ仙台)が大会運営の一部を担い(広報文より)」様々な取り組みを行っていた。ゲストとして、リオデジャネイロ五輪バレーボール日本代表の佐藤あり紗氏、前ベガルタ仙台キャプテン遠藤康氏、ヴォスクオーレ仙台平澤凌選手、税田拓基選手、浅野翼選手が試合開始のキックインのキッカーを務めた。また、仙台すずめ踊り祭連「みやぎの雀」が、ハーフタイムに演舞を披露し、日本盲導犬協会がブースを構え、フットゴルフの体験会など色々な取り組みがなされた。

佐藤あり沙氏によるキックインイベント。

みやぎの雀によるハーフタイム演舞。

試合のプレー時間は国際試合では20分プレイングタイムが採用されているが本大会は15分プレイングタイムだった。なお、先日ブラサカウィークインうめきたからアイパッチ(ゴーグルの下で目にはるもの)の運用が新たなプロセスが加わった。従来は試合開始直前に審判が選手にゴーグルをあげてもらってちゃんと装着されているかを確認するだけだった。特に女子の国際試合ではB2,B3の弱視の選手が参加すること、また日本では晴眼の選手が参加することも考慮し、試合前のピッチ練習の前に、審判がみているところでスタッフがアイパッチを選手に貼るようになった。それが実運用されたこともここに報告しておく。

世田谷の選手へのアイパッチ貼りをチェックする審判の櫻井吏麿(中央 黒)。

北海道の木村にアドバイスを送る仙台の佐々木。こういった交流も地域リーグの魅力。

表彰されるキャプテン日景淳也と堺龍太。バナーも登場。

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