
参加された選手、サポーターの皆さん。キャプテン翼の前での一枚
1月11日(土)、12日(日)パラフットボールプレーヤーにはお馴染みのイベント、パラフットボールフェスティバルが、清水ナショナルトレーニングセンター、IAIスタジアム日本平、IAIパラスポーツパーク、エスパルスドリームフィールド清水の4箇所で開催された。ID(知的障がい)サッカー、電動車椅子サッカー、アンプティサッカー、CPサッカーソーシャルフットボール、ブラインドフットボールの選手がそれぞれの交流戦を楽しんだ。筆者は12日にIAIパラスポーツパークで開催されたIAIブラインドフットボール招待を取材した。
改めて施設について
ブラインドフットボールが開催されたIAIパラスポーツパークは先月開業したばかりのパラスポーツに優先的に無償で貸し出される施設だ。開所式の様子はこちらのレポートを参考にして欲しい。今回の再訪では多目的エリアのフロア構造で本当に電動車椅子サッカー、ボッチャがプレーできるのか、その後の様子などを運営を担当するNPO法人静岡FIDサッカー連盟の瀬戸脇正勝代表にまず伺った。

大会運営に寄付をされた清水ライオンズクラブのみなさまと瀬戸脇代表(右ら2人目)
電動車椅子サッカーについてはトライアルががすでに終了し、参加者からはプレーは問題ないとのコメントを得た。ボッチャに関しても近日中にパラリンピアに試してもらう予定だ。瀬戸脇氏も「何もこの場で公式戦を開催しようとしているわけではない」と説明する。「あるものでできることを追求する。電動車椅子サッカーの選手からは、日頃は体育館という区切られたスペースなのでこういったオープンなところでプレーするの楽しみだ」と言われたそうだ。2つの競技でイベントを開催するなど視察したプレーヤーからも色々なアイディアがでているという。

電動車椅子サッカー、車いすバスケ、ボッチャのラインが引かれた多目的エリア
選手らからは
実際にプレーをしたプレーヤーにも感触を聞いた。たまハッサーズの田中章仁(静岡市出身)は、「ブラインドサッカーで、サイドフェンスが果たす役割は大きいが、クラブチームの練習の中でフェンスを使える機会は少なく、試合の時のみフェンスがあるというチームも少なくない。そのような中で、サイドフェンス常設のグラウンドが生まれ育った静岡にできたことを嬉しく思う」と語った。同じくこのイベントに参加したスフィーダ世田谷BFCのGK万力勇之介は、「ロングパイルの人工芝なので、転んでも痛くない」というGKならではのコメントを寄せた。

静岡出身、田中章仁のシュートシーン。
今までにないこういった施設ができたことへの賞賛と期待は高い。そんな中で「(あえて指摘すると)日本のどのスポーツ施設においても共通するのが「スポーツをする部分」にしか焦点が当てられていなくて、競技をするための準備、あるいは終わった後のケア、そして支援者や観る人に対するケアという視点で改善の余地があるのではないか」と世田谷の代表でありスポーツクラブ経営の研究者でもある張寿山代表は指摘する。

ガイドで指示をとばす張代表。
確かに筆者がトイレを活用した際に「あれ」と思ったことがあった。まず、壁面に案内がなく迷った。そして、スペースの関係か男性トイレ内に便座がなく、多目的トイレと共用になっていた。瀬戸脇氏に聞くとトイレは別途ピッチからダイレクトにアクセスできる場所に作る予定があるとのことなので、こういった悩みも解消されるのだろう。もう一つ、上記のレポートで言及したフェンスの高さも、5mから8mへと改修工事するそうだ。
審判も自前に
今後、すでに複数のイベントが予定されているが、ここで欠かせないのが審判だ。従来は日本ブラインドサッカー協会(JBFA)からの派遣で対応していた。去年より育成を始め、この大会ではJBFAから2名の審判の参加に加え、地元の2名の審判が参加。3試合のうち、最終戦を地元の2名だけで捌いていた。参加したい1人、櫻井俊明さんは「判断して、笛をふいて、(ブラインドサッカー独特の手で)シグナルを送るという動作を同時に行うのは大変」と語るも表情は、晴れやかだった。また、JBFAの審判との情報交換も熱心に行なっていた。

試合終了後、クラブハウス内でジャッジを振り返る櫻井さん(左から2人目)と鈴木さん(左から3人目)。
試合結果
試合は、地元のFC コレチーボ静岡、スフィーダ世田谷BFC、たまハッサーズ(+乃木坂ナイツ他から参加者あり)で戦われ、地力に勝るたまが2勝、静岡が1勝1敗、世田谷2敗で大会を終えた。途中には地元名産品の抽選会もあり多いに盛り上がった。

相手ディフェンスをものともせずシュートを放つ、静岡 中村愛都(中央黄色ユニ)。

世田谷の10番、安倍成一郎。ブラサカ始めて2年半の中学2年生。現在、急成長中!

やはり絵になる。たま 黒田智成のシュートフォーム。

くじに当たった!
試合結果:
静岡 2-0 世田谷 (得点者:中村愛都 x2)
たま 3-0 世田谷 (得点者:岡本浩一、田中章仁、黒田智成)
たま 3-1 静岡 (得点者:たま 田中章仁 x2、黒田智成、静岡 中村愛都)
最後に
今回取材をして施設というものは、設備という箱だけではなくその箱の中身が大切であるということを改めて痛感した。すでにある箱を如何に使い倒すか、その中で箱の改変をしながら、運用スキルと併せて施設としてどうやって熟成させていくのか。この施設はまだ生まれたばかりだが、今後、運営含めて成長していくのか、これからもリポートしていけたらと思う。
コメント