【ブラサカ女子世界選手権2025】Day5 日本はPK戦でイングランドに敗れる。決勝は前回王者アルゼンチンと前回最下位イングランド!

Blind Football
試合を決めて仲間に向けて駆け出すグリモンド。

10月10日 コチ(インド)。IBSAブラインドサッカー女子世界選手権2025 五日目。準決勝2試合と順位決定戦2試合が行われ、日本はPK戦(0-1)でイングランドに敗れた。アルゼンチンはブラジルの堅い守備をこじ開けて1-0で勝利。前回王者と前回最下位が決勝であいまみえることになった。5位決定戦はインドが勝利し、7位決定戦はポーランドがのべ36人のPK戦に勝利(2-1)した。5位から8位までは以下の通りとなった。

5位 インド
6位 トルコ
7位 ポーランド
8位 カナダ

なお最終日の様子は以下の通り
10月11日
19時(日本時間) 3位決定戦 日本vsブラジル ライブ
21時30分(同)  決勝戦 イングランドvsアルゼンチン ライブ

5位決定戦 インド 1-0 トルコ


ガイド ナレシングナヤー得意のゴールパフォーマンス!

初出場のトルコと世界ランク2位のインド。開催国としても負けられないインドはキャプテンのシャパリーラマナシュ(背番号31番 以下同)、アクシャーラナ(8番)が積極的に攻撃をしかけ優位に進める。攻め手が主にギュルシャフ・アクトゥルク(7番)のトルコはおされ気味で第1ピリオドを終わる。第2ピリオド11分、GKアルシャダ(2番)のスローが相手ゴール前に構えるシャパリーラマナシュ(31番)に通り、振り向いて右脚一閃、相手GKセルピル・アブディオール(12番)の股間を抜いて先制。そのまま逃げ切り勝利を手にした。監督のスニル・マシューは「ちょっとのアンラッキーな試合もあったが、我々はよくやった。得点を決めることもできたし、喜んでいる」と語った。

ギュルシャフ・アクトゥルク(7番)はゴールを割ることができなかった


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7位決定戦 ポーランド 0-0 カナダ(PK 2-1)


PK戦を制し、ベンチに凱旋するポーランドの選手たち

初出場同士の戦い。ポーランドはクラクフにある視覚障害者センターを中心に2024年11月にチームが立ち上がった。対するカナダは2020年に活動を開始しているチームだ。引いて守るカナダに対してポーランドはプシェヴォジュナ(6番)とピエトルシンスカ(5番)がカナダゴールに迫るが最後までゴールを割れずPK戦へ。

サドンデスの終止符となるPKを決めるピエトルシンスカ

ブラサカの場合、FP(Field Player)が少ないチームの人数分だけのFPに蹴る権利が与えられる。カナダのFPは5名、ポーランドは8名、よって両チームFP5名がPKを蹴ることができる(3人まで蹴り、あとはサドンデス)。先行のポーランドは最初のキッカーのプシェヴォジュナ(6番)が決め、カナダの1番手、キャプテンのヒラリー・スカンロンも決めて1-1。そこから長いPK戦へ突入した。枠に飛べばカナダのマッケンジー・キースウェッターと、ポーランドのアリツィ・ブゾフスケイがしっかり止めてサドンデスが続く。35人目のポーランド、ピエトルシンスカが右に決め、36人目のカナダ、プローラーミヤ・アムーサンのPKは左上隅に飛ぶもブソフスケイが弾き、長いPK戦に終止符を打った。

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イングランド 0-0 日本(PK 1-0)

2巡目でPKを決めたゴフ。

日本とイングランドの対戦は3度目。これまで5-0、1-0で日本が勝利している。島谷花菜(13番)が「毎回、毎回イメージが変わっていて、今回はすごく強く、守備も強くなるし、攻撃もフォローする体制があった」と語ったとおり非常に拮抗した試合となった。日本の先発はアルゼンチン戦と同じ藤田智陽(GK)、中山杏珠(フィクソ)、若杉遥(左アラ)、島谷花菜(右アラ)、西山乃彩(ピヴォ)のラインナップ。イングランドは不動のアリシア・グリモンド(GK)、アメリア・フォード(フィクソ、6番)、サマンサ・ゴフ(右アラ、9番)、ミーガン・スミソン=ブース(ピヴォ、4番)に、今日はルシア・ワーヴァントヴィッチ(7番)ではなく、エミリー・ホプキンス(左アラ、3番)。守備になると、フォードとホプキンスにゴフ、場合によっては日本ゴール前に陣取るスミソン=ブースが戻って守備に当たる体制だ。

2人かわしても、3人目に防がれることが多かった島谷(中央)

試合は、日本が多くの時間でボールを支配した。ただ、攻め込んでも相手の寄せが早く、今までのようにサイドにボールを振っても崩せず。また「認知の遅れ」(島谷談)もあり、放ったシュートの多くは残った相手にブロックされて終わる。逆にいうと、イングランドは常に一人後で待つ形が多く、島谷や西山が1人、2人は抜いてももうひとり残っている形が多く見られた。残り5分で西山が負傷退場で村田光優(3番)が入る。はっきり枠に飛んだシュートは2本ほどで第1ピリオドを0-0で折り返す。


ドリブルで切り込む西山(中央)

第2ピリオドになると、イングランドが日本サイドへ侵入する回数も増える。日本も焦りが多少あるのか「得点、シュートにこだわって、早めに打ったりで得意とするコースに打てなかった」と島谷が振り返る。「単騎特攻、フィジカルであたられて疲弊する」と山本夏幹監督が語ったように、パスをうけてから次のアクションの感覚がのびるようにも感じ、島谷も「コミュニケーションが減った」と語っていた。8分には西山が戻ってきてフォーメーションを変えるなど山本監督をアクションをとったが、最後までイングランドの守備を崩せず、PK戦に突入する。

先行のイングランドは2巡目の先頭、ゴフが右のグランダーをけってポストに当たってゴールイン。西山が大きく左に外して試合終了。前回大会最下位のイングランドが決勝へ駒を進めた。
山本監督は試合後「1人外してもう1人いるから、もう一度外に外せるかどうか、もう一回外して逆をとるか(ができなかった)」と振り返った。最後に島谷から「まだ明日が試合あるので、明日、応援していただいて、メダルを目指して頑張りたいと思います。応援よろしくお願いします。」
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アルゼンチン 1-0 ブラジル

メディナ=パエス(中央)の右足が試合を決める

ブラサカ女子で初めて実現する南米対決。フィジカルのブラジルか、速さのアルゼンチンか。「速さ」だけではなく「技」を見せたアルゼンチンに軍配が上がった。大阪のグランプリでは思うように活躍できず泣いていたアウグスティーナ・メディナ=パエスが最後に大きな仕事をした。そして、そこには大会初戦からの伏線があった。

ブラジルのDFを掻い潜りシュートを放つソーサ・バレネチェ

第1ピリオド開始からアルゼンチンの右サイド ソーサ・バレネチ(8番)と左アラ アギラル(10番)がブラジルゴールに襲いかかる。そこをイリアーニ(11番)、リラーマニア(7番)タマリース(10番)が立ち塞がる。基本はソーサ・バレネチェが右サイドをドリブルであがり、相手守備を読み込み、少しひきながら円弧を書いて左のアギラルにパスを送る、もう少し早い段階で、いったんアギラルに渡してから右サイドから侵入するという攻撃を忠実に実行し、時折ブラジル守備陣を抜いてシュートを放つソーサ・バレネチェ。14分にアギラルが下がると、メディナ=パエスが変わって、左からの攻撃を担う。結局0-0で第1ピリオドを終わる。

第2ピリオドを引き続き、アルゼンチンが攻め、ブラジルが受ける。違いは、アルゼンチンがソーサ・バレネチェなりアギラルが単騎特攻だけではなく、ゴール前でのショートパスをみせることだ。これは初戦のカナダ戦の4-0とリードした第2ピリオドで繰り返し試していた形。これが決勝点に結びつく。14分、左CKからソーサ・バレネチェが、右45度にまつメディア=パエスにパス。それを受けて素早く右足でゴール右隅にシュート。アルゼンチンが1点を先制する。その後はブラジルの5ファールによる第2PKを獲得したアルゼンチン。メディナ=パエスのPKは右にそれる。その後もアルゼンチンは守りに入らず、1-0で南米対決を勝利で終えた。

試合終了直後のメディナ=パエス、ソーサ・バレネチェ、ミカエラ・セゴビア。

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アルゼンチンと日本の差

グループリーグの試合と、この準決勝をみて、感じたのは次の3点だ。1)選手層の厚さの違い、2)絶対的エースの存在、3)次への準備。
1)について今回アギラルという前回大会の得点王が、5月の怪我から完全復帰していない中、他に決める選手がいる。そして、8人どの選手がでても役割をしっかり果たしている点だ。
2)やはりソーサ・バレネチェの存在は大きい、この試合で得点は決めなかったものの、アシストをしている。そして、40分間最後まで走り通した。今回もMVP最右翼ではないか。
3)カナダ戦、日本もアルゼンチンも5点を奪ったが、彼らは第1ピリオドに4点を決めて、第2ピリオド、主力を温存する時間を作れたし、新しいことを試す余裕があった。
これらが準決勝の結果の差につながったのかなと感じる。

得点ランキング:
ミーガン・スミソン=ブース(イングランド)  5点
ガルシア・ソーサ・バレネチェ(アルゼンチン) 4点
島谷花菜(日本)               3点
シャパリーラマナシュ(インド)     3点<更新
ヨハナ・アギラル(アルゼンチン)       2点
西山乃彩(日本)               2点

日本代表、明日は笑った終わろう!

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