10月7日 コチ(インド)。IBSAブラインドサッカー女子世界選手権2025 三日目、グループAではブラジル対イングランド、インド対ポーランド、グループBではカナダ対日本、アルゼンチン対トルコが対戦した。インド、日本、アルゼンチンが勝利し、ブラジルとイングランドは引き分けた。その結果、日本とアルゼンチンが決勝トーナメントへの駒を進めることが確定した。グループAはイングランド、ブラジルが有利だが、主催国インドもイングランドに勝てば逆転で決勝トーナメントに進出する。各グループの暫定順位は以下の通りだ。
グループA 1位 イングランド(1勝1分)、2位 ブラジル(1勝1分)、3位 インド(1勝1敗)、4位 ポーランド(2敗)
グループB 1位 アルゼンチン(2勝)、日本(2勝)、3位 トルコ(2敗)、4位 カナダ(2敗)
グループA ブラジル 1-1 イングランド

イングランドの得点を稼ぐミーガン・スミソン=ブース(4番、右)はゴールボール イングランド代表でもある
今大会のグループリーグの見どころは、日本対アルゼンチンとこのカード。フットボールの母国と王国が女子ブラインドサッカーで初対戦する注目の一戦だ。両者ともに初戦に勝利しており、この試合勝った方が決勝トーナメント進出の一番乗りとなる。両チームとも初戦と同じスターティングメンバーでゲームに臨んだ。
第1ピリオド開始早々から一進一退の攻防が続く。ブラジルが押し気味に進めるが、決定的なシュートには至らない。残り1分を切ったところで、前日のポーランド戦で2得点を挙げたミーガン・スミソン=ブース(背番号4)が12mライン中央でナターシャ・ミード(5)からのパスを受け、反転して相手DFを一人かわしGKと1対1に。そのまま左足でGKの頭上をうち抜きイングランドが1-0でリードを奪った。

イングランド フットサル代表GKでもある アリシア・グリモンドの左に流し込むらファイラー(6)
第2ピリオド、ブラジルはラファエラ・パウリーノ(6)をピッチに送り出す。この采配が的中。開始2分、イングランド陣内12mライン付近中央でGKからのフィードを受け取ると、まるでスミソン=ブースの軌跡をなぞるように相手DFを交わして、GKと右ポストの間を狙い、ボールを流し込んで1-1と同点に追いつたい。その後も両チームは決定機を作りながらも得点を奪えず、1-1の引き分けに終わった。

相手にちょっかいを出して審判に注意されるブラジルのタマリース。こんなところもブラジル?
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グループB カナダ 0-5 日本

ハットトリックを決めた島谷花菜の力強いドリブル。
日本はGKが藤田智陽から大作眞智子に代わった他は初日と同じメンバーでスタートした。前日にアルゼンチン対カナダ戦を観戦した山本夏幹監督は「データはしっかり伝えて、ボールを奪ってからGKに戻するか、展開するか、自分でいくかを自分で考える」というテーマと、「体の大きな相手にも恐れずぶつかっていく」という初戦からの修正を伝えて選手を送り出した。
第1ピリオード2分の西山乃彩のシュートを皮切りに積極的にシュートを放つも相手のGKにことごとく防がれる。「シュートが相手の防ぎやすいところに飛んでしまった」と山本監督。17分、相手が怪我で一人少なくなったところ、西山がGK大作からのスローを12mライン中央で受けて反転、少し右に流れながらニアに流し込み先制する。ほぼ毎分シュートを放っていたが、第1ピリオドはこの1点に終わる。「情報があるぶん少し堅くなった」とキャプテンの若杉遥は振り返った。

第1戦に続き先制点をあげた西山
第2ピリオド、4分に相手GKが負傷交代するとすぐさま島谷花菜が得点、続く8分に若杉遥が23年の世界選手権以来となるゴールを決めて3-0、更に9分、18分に島谷が追加点を決めてハットトリック達成。福田史織、村田光優も交代で出場し全選手がピッチに立ち、5-0 でカナダを圧倒した。

若杉遥(中央)のゴールを決めたシュート
若杉は「アルゼンチンと、同じ得点差でまで行けたというところは、私たちの力が少しずつついていっているのかなというところで自信にはなったと思います」と手応えを口にした。自身のゴールについては「(ペナルティエリアに)侵入できる回数がすごくあったので、あとは当てる感じかなというところで、うまく当たったところがシュートにもつながりました。」と率直にコメント。「(中略)怪我してからの復帰の過程というところでは、できることがたくさん増えてきて、ボールに絡める時間が増えて、やっぱりサッカーで楽しいなというところをすごく感じている。それをなんかもっともっとプラスに変えて、チームに貢献できるようにしていきたいと思います。」と次に向かっての抱負を語った。最後に日本のファンに「本当に応援いただけていることに感謝しています。引き続き優勝を目指して頑張っていきたいと思っているので、応援をいただけると嬉しいです。よろしくお願いします。」と締め括った。
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グループB アルゼンチン 1-0 トルコ

GKと1対1なるの止めらないソーサ・バレネチェ(左、青ユニフォーム)。ファーにきっちり流し込む
このカード、ベストメンバーで挑んだアルゼンチンは、元トルコ ハンドボール代表GKと3人の早く寄せるDFに苦戦。シュートを放つもGKに止められる展開で第1ピリオドは0-0。第2ピリオド、ソーサ・バレネチェが右サイドから大外からカットインしてDFを置き去りにしてペナルティエリアほぼ正面でGKと1対1に。ゴール右隅にシュート。さすがのプレーでアルゼンチンが先制。そのまま1-0でトルコをくだした。

前半はソーサ・バレネチェをとめたセルピル・アブディオールだったが
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グループA インド 2-0 ポーランド

得点を決めてガイドに抱えられるシャパリーラマナシュ
初戦ブラジルに敗れたあと、「決勝トーナメントに進むために後二つ勝つ」と笑顔で語ったインドの監督。開催国としてこのままでは引き下がれない。双方共に相手ゴール前にピヴォ役を残し3人で守備し、攻めると見るや二人目が上がってフォローする作戦をとる。
先手をとったのはインド。第1ピリオド9分、右サイド5mで得たFKからシャパリーラマナシュ
(31)がドリブルで一旦12mライン近くまで大きく円を描きながらもペナルティエリアに侵入し、ゴール左隅にグランダーのシュート。1-0と先制する。ポーランドは前線にボールを送るもシュートに結びつかない。インドは第2ピリオド6分にアクシャーラナが追加点を決める。その後はピヴォ役もピンチには自陣まで引いて守備をし、2-0で勝利した。

試合後、盲学校の生徒とともに。インドのブラインドサッカーは13年前にこの盲学校で始まったそうだ。未来の選手がここから生まれるかも
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暑さ対策

スタッフがうち泡で扇ぐ。
四季がないコチ。一年中1日の最高気温は30度を超え湿度も高い。各チームともタイムアウト、水分補給の休みごとに選手に氷嚢を渡したり、水で湿らしたタオルを首に巻いたりしている。各ベンチにはテントがあり扇風機も用意されている。日本チームはJBFAの職員が送った「団扇」も総動員している。ただ、本来は応援用のグッズなので2戦終わった時点でx柄の部分が危ない。最後まで持つだろうか。こちらも要注目だ。

表裏に様々な意匠がこらされた六種類の団扇が大活躍

クールダウン時に手だけでもと氷水に手を浸す選手たち
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