10月6日 コチ(インド)のユナイテッド スポーツセンターにてIBSAブラインドサッカー女子世界選手権2025 二日目。グループAのイングランド対ポーランド、グループBの日本対トルコ、アルゼンチン対カナダが対戦し、イングランド、日本、アルゼンチンが勝利した。二日目終わっての各グループの暫定順位は以下の通り。
グループA 1位 イングランド、2位 ブラジル、3位 インド、4位 ポーランド
グループB 1位 アルゼンチン、2位 日本、3位 トルコ、4位 カナダ
グループA イングランド 2-0 ポーランド

第2ピリオドにFKからゴールを決めたミーガン・ブース(4番)
一つのプレーが勝負を決する怖さを感じさせたゲームだった。イングランドとポーランドはこの5月に対戦し、イングランドが勝利を収めている。ポーランドは、ピヴォを相手ペナルティーエリアに常におき、中盤を省略して3枚で守り、カウンターに託す体制。対するイングランドはピヴォとアラの3枚で攻める盾と矛の戦いとなった。
第1ピリオドは、イングランドが攻めポーランドが凌ぐ展開で0-0で折り返す。そのバランスが崩れたのは第2ピリオド2分だった。イングランドのミーガン・ブース(4)がポーランドペナルティエリアに進入、フィクソのイラルスカ(44)と対峙、倒れたイラルスカがブースの進路を妨害する形となりイングランドにペナルティーライン上からのFKが与えられる。これをブースが左足でGKの右脇へシュート。ボールはネットに突き刺さりイングランドが先制する。その直後のポーランドのキックオフのボールを奪ったブースがまたもドリブルでペナルティエリアに進入し相手を掻い潜り左60度からシュート、GKのまたを抜き2ー0とスコアを広げる。その後イングランドは攻守の切り替え早く、相手ボールになると4人が自陣に下がり、攻めを受け切って2-0で世界選手権初勝利を挙げた。
5月に来日時と比べ、一段レベルアップし全く違ったチームとなっている。10月7日 12時(日本時間)からブラジルとイングランドの一戦が、このグループの趨勢を決めるだろう。両チームともよく走るだけではなく、パスも織り交ぜるフィジカルなチーム。どういった対戦となるか楽しみだ。
グループB 日本 1-0 トルコ

代表初得点の西山(9)を祝福する藤田(左)、中山(右)
「初戦はどの大会でも難しい」山本夏幹監督は開口一番こう語った。その言葉通り、勝利を収めたものの、得点を重ねることはできず、課題を残した初戦だった。第3試合のアルゼンチン対カナダの試合を見た後では特にそう感じる。
初出場のトルコは日本のペナルティエリア内センターにピヴォを一人おき、3人は自陣に引いて守る体制。日本がシュートを失敗するとすぐにGKから待ち構えるピヴォへボールを送られ、日本の守備が手薄になったいるところをつく作戦。
第1ピリオド開始早々から、日本は左アラの西山乃彩、右アラの島谷花菜、アンカーの若杉遥の3人でトルコ陣内に攻め込む。特に西山が積極的にシュートを放つが、相手の守備を背負いながらでなかなかゴールの枠を捉えられない。西山と島谷で積極的にサイドチェンジを仕掛けるがトルコの3人のディフェンスを振り切れない。12分には相手のゴールスローが通ってGK藤田智陽とKeiban Nur Erdogan(9)が1対1になる、Keibanのシュートはポストを叩きあわやトルコに先制を奪われそうになる。
その後14分に日本はホールディングでセンターライン付近でFKを得る。ここで山本監督はタイムアウトを取る。山本監督曰く「西山は今ここという集中が足りていないように見えたので『目指すのはゴールだろ』」とネジを撒き直したという。FKからゴール前10mほどで振り抜いた右足シュートは、キーパーの手を弾きゴール左隅に吸い込まれた。西山の代表初ゴールで日本が先制する。その後は、アンカーの若杉を自陣に残して相手の攻撃をケアとバランスを取り、1-0で折り返す。

開始早々から西山は積極的にシュートを放つ(写真は第2ピリオド)
第2ピリオドも、日本がゲームを支配し、島谷、若杉が積極的ににシュートを放つシーンもあった。相手のカウンターもあったが、フィクソの中山杏珠も徐々に対応できるようになり、若杉遥の献身的な上下動の動きもあり、得点を許さず1-0で日本が勝利した。

第2ピリオドは相手ペナルティエリアに攻め入るシーンもみせた若杉。

初出場の中山(左から二人目)も徐々に試合なれ、第2ピリオドはしっかり相手の動きに対応した。
山本監督も振り返っていたが、「ファーストプレーでしっかり相手に寄せる、戦いに行くマインドをしめせるかどうか」。この部分は5月のワールドグランプリでも感じたが、少し物足りなさを感じたのも事実だ。ただ、初出場の中山もフルに40分戦えた。若杉もアンカーとしてゲームに積極的に関わり復調の手応えを示すことができた。次に期待したい。
グループB アルゼンチン 5-0 カナダ

アルゼンチンの先制は前回MVPのソーサ・バレネチェ。チーム3点目は狭いところにきっちり沈める。
王者アルゼンチンと初出場カナダの対戦、第1ピリオド3分にキャプテンのソーサ・バレネチェがゴール左隅に打ち込み先制、その後、前回大会の得点王アギラルが7分にソーサ・バレネチェが10分に、アギラルが14分にと交互にそれも、ゴールの左右の隅に散らしながらきっちり決めて4-0と大量リードを奪う。

5月の怪我から復調のアギラルも、しっかり2点を決める。
第2ピリオドはソーサ・バレネチェ、アギラルを下げて若手主体になるとスコアは膠着。カナダゴールに迫るも、最後の壁を崩せない。12分にソーサ・バレネチェが入ると1分後にゴール右の得意な角度から5点目を叩き込むのはさすが。そのまま5-0で試合を締め括った。
カナダは体格の大きな2名、Sanlon(2)かHarani(5)がピヴォとして相手ペナルティーエリア前に残り、3枚で守ってカウンターを狙うチーム。相手DFを抜いてGKと1対1のシーンを如何に作れるかを狙う。一方のアルゼンチンは、ソーサ・バレネチェとアギラルが右左に開いてパス交換で相手を崩す、ペナルティーラインにピヴォが残る時には、そのピヴォに対して至近距離でもパスを送るなどチーム戦術が上がっている印象を受けた。日本との対戦は10月8日12時(日本時間)が楽しみだ。
会場は?

会場入り口に置かれた看板。
会場となるユナイテッドスポーツセンターはコチの中心街から車で30分ほどのInfo Park(日本でいう企業団地)の隣にあるスポーツセンターだ。フットサルとバドミントンのコートが用意されている。バドミントンコートを覗くと、4面ほどあり、平日の17時すぎにバドミントンを楽しむ若い人たちで、それも裸足や靴下で、いっぱいだった。

センターサークルあたりの色が違う部分は少し盛り上がっている。
このフットサルコートが、お世辞にもいい状況とはいえず、審判席側の左端から手前の右端にむけて傾いている印象で、センターサークル付近は張り替えた人工芝が盛り上がっている状況だ。日本はちょうど第1ピリオド高い方から低い方に向かって攻撃したが「ボールが(傾斜で)加速することは事前に伝えていたがアジャストに時間がかかった」と山本監督。どのチームも条件は一緒だが、これがどういったドラマを生み出すのかこちらも注視していきたい
こちらでも当日の写真を公開しているのでよろしければぜひ。
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