「ひかり」を胸に、ブラサカ女子代表は優勝を、ロービジョンフットサル代表は表彰台を目指す

Blind Football
参加者による集合写真

9月20日東京都小平市にある三菱電機ビルソリューションズ教育センター体育館において、日本ブラインドサッカー協会により、「IBSA 世界選手権2025 日本代表 壮行会」が開催された。今年10月にインド コチにて開催されるIBSAブラインドサッカー女子世界選手権2025と11月にトルコ アンタルヤにて開催されるIBSA ロービジョンフットサル世界選手権2025に参加する代表選手、監督をスポンサーやファン、小平市の方々が壮行する会である。それに先立って、それぞれのチームの練習がメディアに公開された。

前回の世界選手権はそれぞれ2023年バーミンガムで開催された。初開催の女子世界選手権で日本はアルゼンチンに敗れて準優勝、ロービジョンフットサル代表は、初めて準決勝に駒を進めたがイングランドにPKで敗れ、3位決定戦ではスペインに敗れて4位に終わった。今回の大会ではそれぞれ初の優勝と表彰台を目指す。

壮行会の様子

紹介される代表選手達。手間がブラインドサッカー女子、奥がロービジョンフットサル。

会は主催者を代表してJBFA 副理事長の村松邦子氏の挨拶、同 ハイパフォーマンスADの村上重雄氏の大会の概要説明についてそれぞれのチームの監督、キャプテンから挨拶があった。

ブラサカ女子代表 山本夏幹監督


「世界一は自分達だという誇りをもってアルゼンチンは活動している。(先日のワールドグランプリではアルゼンチンを下して優勝したが)、世界選手権に勝たなければ世界一と言えないじゃないかなと感じている。(中略)手を取り合い、必死に泥臭く戦っていきたい」。

ブラサカ女子代表キャプテン 若杉遥


「世界選手権では、選手たちまだ優勝を勝ち取ることができていませんし、ワールドグランプリではアルゼンチンとPKでなんとか勝ったのは、とても自分たちとしてもうれしい反面、やっぱりまだ本当の意味でアルゼンチンに勝てていないんじゃないと感じる。(中略)1つ1つ自分たちができることを積み重ねて、優勝というものをつかんでいきたいと思いますし、この場に立つことができなかった選手もいますので、その選手の気持ちをしっかりみんなで受け止めて、力に変えて、今度の世界選手権で優勝を目指していきたい」。

ロービジョンフットサル代表 金川武司監督


「​​前回4位の悔しさを日々の努力の糧にし、その努力が最大の自信となって今回必ず表彰台を狙
えると確信している。私たちの頑張りが次の世代、社会への素敵な活力となりメッセージとなる。ぜひみなさんも一緒に戦って欲しい。」

ロービジョンフットサル代表キャプテン 赤崎蛍


「私たちの表彰台に登るという目標のため、私たちは、と同時に、私たちの力だけではなく、皆様の力がなくてはならないものになっています。今大会に参加するので費用の一部が少し足りていないということもあり、ご支援の形で、物理的な力を貸していただくこともそうですし、ぜひ、皆さんには、いろんな形で力を貸していただきたいと思っています。そして、ともに世界と戦い、皆さんと一緒に表彰に登りたいと思っている」

若杉遥と小林洋子小平市市長と送られた寄せ書き


その後、小平市市長の小林洋子氏が、「勝利も大切だがぜひ魅せるプレーをしてください。1つ1つのプレーを全力で行う。その皆さんの存在が市民に力を与えてくれると思っています」とエールを送り、市内の中学生が作った寄せ書き入りの日の丸を各キャプテンにプレゼントした。

その後、各チーム二つのグループに別れてのQAセッション、専務理事の松崎英吾氏の挨拶と集合写真撮影で会は終了した。

選手、監督の意気込みは

監督自ら仮想敵としてプレー。右は島谷花菜

山本監督は、壮行会に先立つ練習見学会において「ワールドグランプリで(アルゼンチンを下して)優勝していますがアルゼンチンからしたら自分たちが世界王者ってスタンスは変わっていないと思う。僕らもそのつもりでいかなければいけない。なので、彼女たちを上回る準備をしてきたつもりだ。5月のグランプリでは、(直前で菊島宙、鈴木里佳がクラス分けNAで、さらに田中一華も不参加というなかで)急造で4人でやらなければならないところがあったが、今回は菊島、鈴木がいないとわかっているところからスタートしている。(中略)本人たちも自分が何をこの現代表の中で求められてるのかっていうそれぞれの役割とポジションをしっかり意識していることが特にピヴォ、アラを務める若杉遥、島谷花菜、西山乃彩の3人は認識していると思う。」「パスでしっかりボールを繋ぎながら相手崩してってフィニッシュまで持っていく、日本のプレーをしっかり出したい」と展望を語った。

キャプテンの若杉遥には膝の調子について問われると「5月は5割、6割だったが、今回はもう百に近いところまで来てるかなと。しっかりとプレーのところで貢献したい」。「所属チームでも担い、前回大会でも得点を決めたポジションに上がるので強みであるフィジカルを以下して攻守ともにチームに貢献していきたい」と抱負を語った。

流れからのシュートを放つ西山乃彩。右は福田史織。

5月のグランプリで決勝戦で唯一のPKを決め日本に優勝をもたらした西山乃彩は、練習では積極的にシュートを狙っていた。「(シュートの精度について聞かれると)ひたすら練習です。シェードを外さずに感覚を養う練習をしている。」「2週間あるので、できるだけ、5月と比べたらできるようになっていると思うんですけど、まだ、まだ足りないので」と語っていた。

体格をいかしてディフェンスする中山杏珠(中央)、GKは大作眞智子、右は島谷花菜


今回初めてブラインドサッカー女子代表に選出された中山杏珠は2022年から柔道を始め、現在、育成選手にも指定されている。ブラインドサッカーはこれまでJBFAが開催しているキッズキャップに参加で体験するのみだった。去年8月のキッズキャンプで「周りがすごいうまい人たちばっかで、ついていかなきゃって必死になったらなんか結構面白くなっちゃって」とそこから競技にのめり込む。「チームスポーツは初めてで(柔道の他にクライミング)味方がいるのっていいな」とブラサカの魅力を語る。練習ではフィクソの位置に入っていた彼女。「体格(柔道は70kg級)で相手をもう何が何でも止めるっていうので、結構、なんだろう。うん自分に向いてるかなって思います」と手応えを感じている模様。「選んでもいただいたのは嬉しい反面、プレッシャーもある。選ばれた以上、全力をつくす」と力強く語っていた。

監督とキャプテン、練習前の打ち合わせ


ロービジョンフットサル代表の金川武司監督は「大会が楽しみで、本当に一人一人が成長しておりますので表彰台にあがれるなと確信しております。(前回4位になったことで)注目があがり新しい世代が参加することに注目して欲しい。そして攻守の「切り替え0秒」常にあいてよりいい準備をしていくところを見ていただけたら」とアピールした。キャプテンの赤崎蛍は「表彰台に上るっていうのと、個人としては、大会得点王、そしてその先にあるMVP、最優秀選手の獲得っていうのを目指しています」と抱負を語った。

ブラインドサッカー女子世界選手権のスケジュールは

先日、スケジュールが発表され、出場国が8カ国で確定した。グループリーグが4チームずつで総当たり戦、上位2チームが決勝トーナメントに、下位2チームが5位、7位決定戦に進む。グループAがインド、イングランド、ブラジル、ポーランド、グループBが、アルゼンチン、カナダ、トルコ、日本となる。初参加となるトルコについて山本監督は「男子で実績のあるチームでしっかり準備して出てくるだろう」と警戒する。

今回は新調されたユニフォームは「ひかり」と名付けられ、黄色の光を表現する縦線が加わる。さらに新しい試みがエンブレムだ。従来はプリントされたものが貼ってあるだけだったが、今回は点字で「JAPAN」といれている。若杉も「国歌斉唱で胸に手をあてる時に、イメージの中のものが、実際に手で触れて感じられ、形がわかるというのは身が引き締まる思い」と語る。彼女たちがインドの舞台で代表として活躍することを期待する。

なお、日本代表のグループリーグの試合スケジュールは以下の通りだ。日本はグループBとしてアルゼンチン、カナダ、トルコと対戦する。初戦はトルコ。IBSAの公式チャネルで放映されるとアナウンスされている。ぜひチャネルをチェックして欲しい。

10月6日 20時より    vsトルコ
10月7日 14時30分より vsカナダ
10月8日 12時より    vsアルゼンチン
10月10日 12時より    5位決定戦 グループA3位 vs グループB3位
同    14時30分より  7位決定戦 グループA4位 vs グループB4位
同    20時より    準決勝1グループA1位 vs グループB2位
同    22時30分より 準決勝2グループA2位 vs グループB1位
10月11日 19時より    3位決定戦
     21時より    決勝戦
(全て日本時間)

大会ホームページ
IBSA Youtubeチャネル

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