バスケットボールとサッカー、どちらの競技人口が多いかご存知ですか?
正解はバスケットボール。国際バスケットボール連盟によると少なくとも全世界で6.1億人が定期的にプレーしているそうだ。サッカーの競技人口は2.7億人(国際サッカー連盟)。バスケの方が倍以上多い。では、日本での状況はどうだろう。笹川スポーツ財団によればサッカーが309万人でバスケットボールは237万人だそうだ。日本ではまだサッカーの方が多いのだが、世界でみると実はバスケの方が多い。
パラスポーツではどうだろう。日本においてサッカーは7つのカテゴリー(アンプティー、CP、ソーシャル、知的障がい者、電動車椅子、ブラインド、デフ)で合わせて9000人近いプレーヤーがいる。そのうち、知的障害が5400名、ついでソーシャル(精神障害者)が2500名。この二つで大半を占める。ついでブラサカ、電動車椅子、デフ、CP、アンプティの順だ(以上2019年 JIFF調べ)。
一方でバスケは? 日本のパラスポーツは車いすバスケットボールからはじまったといっても過言ではない。1964年の東京パラリンピック/第13回国際ストーク・マンデビル競技大会にその源流を求めることができる。この辺りは稲泉連の「パラリンピックと日本人 アナザー1964」に詳しい。ご興味ある方はぜひ一読をお勧めする。
現在、バスケットは知的障害、車いす、デフ、ソーシャルの各競技で統括団体がある。サッカーの日本障がい者サッカー連盟のように全てのカテゴリーを統括する団体として、日本障がい者バスケットボール連盟が2018年に立ち上がった。それぞれの連盟の資料などを読むと現在の日本における競技者人口は2000人ほど。知的障害がこちらの半分を占め、ついで車いすが800名ほどだ。サッカーと大きな違いは、ソーシャルの割合だ。現在、日本に15のチームがあるが、プレーヤーは100-150名ほどと言われている。
日本には精神障害者419万3千人(その他、身体障害者が436万人、知的障害者が104万9千人)といわれる(令和3年版障害者白書)。彼らが楽しむ競技というと上記のソーシャルフットボールとバレーボール、スポーツに触れる場は主に病院でのリハビリとレクリエーションというのが現状だ。
こんな状況を打開すべく、日本ソーシャルバスケットボール協会(以下協会)では、「ソーシャルバスケットボールキャラバン」と題して日本各地で普及活動を行っている。これは1日のプログラムでウォーミングアップ、基礎練習、5対5の試合、フリースローゲームといった構成からなる。今回は2024年に十条にある東京障害者総合スポーツセンターで開催された「キャラバン」で知り合った人たちで構成される、16番目のチーム「Vagabond」の初練習に3月15日に参加した。

発起人は一色航さん。作業療法士の仕事の傍ら、協会で推進委員として「キャラバン」の運営をしている。なかなかプレーする場所を予約するのが大変とのことだが、今回は協力者の方が勤務する企業が保有する体育館を確保しての初練習となった。参加者は、協力者やその仲間、他のソーシャルバスケットボールチーム、横浜フラットヘッドやマークスに所属する方々で9名、その他に協会の推進委員の方々など。ウォームアップ、様々なシュート練習、フリースロー練習、2on3の練習、最後に4on4での試合を楽しんだ。もともと「一緒にどうですか」と誘われた筆者。プレーできる格好で伺ったが、みなさん経験者ばかりで、すいすいとこなしていくのを見て尻込み、見学に徹しました。

始めたきっかけを参加した方に伺うと、やはりリハビリきっかという声が返ってくる。仲間がいる、自分でもできる、ちゃんと指導してくれる人がいるなど、やって楽しかった思いがきっかけとなって続く原動力になっているようだ。場所、道具、天候(外の場合)が揃えば始められことも、重要な要素という。野球や卓球などもリハビリでやる機会はあるそうだがやはり継続は難しいとのことだ。
クラブチームでの活動は、横浜フラットヘッドの場合は月に2回ほど。横浜の磯子で行っている。仲間集めはやはり口コミ、職場での勧誘、関係する場所でのチラシ配布などが主とのこと。子供から様々な年齢層の方があつまってバスケを楽しんでいるそうだ。心掛けていることは、「安心できる場となること」だそうだ。競技性を追求するあまりつい、「できる人」中心の練習となり続けづらいこともあるという。そういった人たちも受け入れて「誰でもできる場」「心理的安全性を提供する場」を目指しているそうだ。

ちょっとバスケをやってみたい、そういった比較的ライトに楽しみたい人には実はソーシャルバスケットボールのチームに参加するというのは一つの選択肢になるのではないか、練習を見学し、その後の食事会に参加させていただいて、そう感じた。
もしご興味が湧いたは、筆者までご一報ください。連絡先をご紹介させていただきます。ぜひ。
2025/4/18 追記
Vagabond様の紹介はこちらもご覧ください。
2025年4月14日追記
一色様のご職業が誤って記載しておりました。大変失礼いたしました。すでに正しいものに修正されております。
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