ブラサカ東日本リーグ in 品川は、高1生が試合を決める

Blind Football
決勝点を決めガッツポーズの大元荘(中央)にかけよるガイド鈴木仰、左は品川のGK藤原幸紀
2025年6月29日(日)、「ブラインドサッカー地域リーグ2025 in 品川」がしながわ中央公園 多目的広場(東京都品川区)で開催された。2016年以来毎年(2020年を除く)品川区は大会をホストしている。地域リーグの良い点は「新しい選手をしっかり発掘できること」とfree bird mejirodaiの山本夏幹監督が語ったように各チーム、新しい選手の躍動が見られた大会だった。

優勝はfree bird mejirodai、決勝点は大元壮!

その大元のシュート(真ん中)。左から井上瑠衣(背番号2)、寺西一(背番号19)。

決勝戦は初戦でソイエ葛飾を3-0で破ったfree bird mejirodaiとスフィーダ世田谷BFCを9-0で破った品川CC パペレシアルの戦いだった。地元品川での三連覇がかかる品川はエースの川村怜をコンディション不良で欠き、新フォーメーションを試す。一方のmejirodaiは、鳥居健人、園部優月、北郷宗大が欠場。ただ丹羽海斗が2023年9月24日 LIGA.i第2節、644日振りにピッチに戻った。ソイエ葛飾戦では早速ハットトリックを決めている。

スタメンは、mejirodaiがピヴォに大元壮、左アラに丹羽海斗、右アラに永盛楓人、フィクソに若杉遥、GKが泉健也。対する品川はピヴォに井上瑠衣、左アラに佐々木ロベルト泉、右アラに森田翼、フィクソに寺西一、GKが藤原幸紀の布陣。ピヴォの井上は1年振りの公式戦。世田谷戦では2点を決めている。

横っ飛びでブロックする藤原幸紀(中央緑)

先に見せ場を作ったのは第1ピリオド6分のmejirodai。永盛が左サイドをあがり、ゴールニアにシュートを放つもGK藤原が横っ飛びに防ぐ。品川も森田、佐々木がシュートを放つが、mejirodaiの守備に阻まれ、決定的なシュートにならず0-0で前半を折り返す。

mejirodaiゴールに迫る森田(中央)と守る丹羽(背番号2)、永盛、若杉。


第2ピリオド、試合開始と同じスタメンで試合に入る両者。第1ピリオドはシュートがなかったmejirodaiの丹羽が先にシュートをはなつ。永盛も続け様にシュート。7分に品川は井上から松下佳生へ、mejirodaiは若杉に替えて島谷花菜を送り出す。その後、森田がシュートを放つがゴールの枠を捉えきれない。mejirodaiは丹羽のシュートがゴールバーに嫌われ得点を奪えない。ジリジリと時間が過ぎ残り1分を切ったところで、左サイドにいたmejirodaiの大元がインターセプトしたボールからドリブルしてカットイン。品川の井上、寺西のプレッシャーを受ける前に右足を振り抜いてゴール右上隅をぶち抜き1-0。そのままタイムアップでmejirodaiが勝利した。

敗れた品川の監督小島雄登は「ボールが運べて正確にパスを出せる川村不在のためパスがばらつき、結局走り合う試合となった。年齢層も(mejirodaiに比べて)高いため、暑さの中消耗してしまった。自分たちの形にこだわったが、森田と佐々木の位置を変えるなどしてもよかったかも」と振り返った。一方、決勝点を決めた大元壮は、5歳からブラインドサッカーに親しみ、ユーストレセンにも参加、今年3月の地域リーグで得点を決めている。「狙っていました。何度もああいった形の攻撃はやっていて何度も失敗したけれど、すごく集中できて、あの(ゴールを決めたシュートの)瞬間はうまくいったな」と語った。山本監督も「丹羽と永盛が連携しながら大元にボールをわたしたら縦にシンプルに仕掛けようと繰り返したことが、身を結んだのはチームとしてもポジティブ」と振り返った。A-pfeile広島BFCの矢次祐汰みたいな選手になりたいと語る大元。この春、高校に進学し練習量が増えたとのこと、これからの更なる成長が楽しみだ。

今後の活躍が楽しみな選手

久々の公式戦で躍動する丹羽(背番号2)とマッチアップする辻一幸(背番号15)

1年振りのピッチで躍動する井上(背番号2)ととめにかかる永盛(背番号5)

丹羽の復帰、品川の井上の1年振りの登場のほかにソイエ葛飾の村田光優を挙げたい。今年成人式を迎えた彼女は、ブラサカ7年目。今日はキャプテンとして出場した村田。この日2試合目となる世田谷戦の第1ピリオド11分に公式戦初ゴールを決めた。

ゴールを決めた村田光優(背番号14)のシュート。

「驚いた、びっくりしたというのと、うんまぁ嬉しかった。やっといれることができたんだなっていうのが一番大きかった」。「最初シュート入ったのかなって、アイマスクをしているので、あまりわからなかった。周りの声を聞いて、「あっ、入ったんだなとはっきり知ることができた。」と状況を語った。「ケチャドバ」という言葉がある。ケチャップが乾いて堅くなってなかなかでない時にその堅くなった部分が外れるとドバドバでるようになるという状況を指す言葉だ。それを転じて、なかなかゴールが決まらない選手が一点決めるとその後何点も決める状況を指す。彼女はこの一点のみだったが、動きが俄然良くなり、その後も惜しいシュートを放っていた。女子代表は選手層が薄い中、関係者にとっては朗報となるのではなかろうか。期待したい。

上杉(背番号16)とともにピッチにたつGK山本夏幹(背番号31)

この試合、mejirodaiの山本監督がGKとしてピッチにたった。これは、mejirodaiの選手として初めて公式戦に登場する上杉琉聖がフィクソに入った際に混乱させないためという配慮だったとのこと。こういったところも地域リーグならではかも。

途中出場ながら世田谷の攻撃を引っ張った安田美香(背番号23:中央)

そして世田谷。北日本リーグに続きこの日もゴールが遠かった。前回に比べてシュートがあったことが前進だ。シュートを放った安田美香は「練習不足でした」と悔しさ一杯の表情で語った。世田谷のFPにおいては数少ないサッカー経験者の彼女。筆者のホームタウンチームでもあり、日本選手権での巻き返しを期待したい。

次の公式戦は

会場でチケットを売り込むmejirodaiの丹羽海斗(中央)

次は2025年8月2日(土)品川区立総合体育館(東京都品川区)にてLIGA.i ブラインドサッカートップリーグ2025が開幕する。品川、mejirodai、buen cambio yokohama、埼玉T.Wingsの4チームが参加する。今日の試合だけで判断するには早計だが、mejirodai、そして、日本女子代表の西山乃彩が加入したyokohamaが引っ張るのではないかと想像する。まだ、勝利のないyokohamaが躍進するか、それともそのほかのチームが自力を発揮するのか楽しみだ。チケットはすでに発売されているのでぜひ、こちらからお求めいただきたい。

最後に今回の大会は例年になく「暑い」と感じた。直射日光を浴びた筆者のiPhoneは高熱で動作しなくなった。熱中症気味になり、途中交代する選手もでたと聞く。試合開始を9時からに設定する、試合中に水分補給の時間を設けるなど主催側も手をうった。ただ、じっと座って見守る観客もなかなかしんどかったのではないだろうか。相手は自然。どうやら6月から9月末までの屋外開催は厳しい時代になってきたのかもしれない。

試合結果

・M1 9:00キックオフ ソイエ葛飾 0-3 free bird mejirodai
[得点者] 丹羽海斗:bird mejirodai・背番号2(第2ピリオド1分、9分、11分)

・M2 10:30キックオフ 品川CC パペレシアル 9-0 スフィーダ世田谷BFC
[得点者] 森田翼:品川CC パペレシアル・背番号9(第1ピリオド2分、12分、第2ピリオド5分)
井上流衣:品川CC パペレシアル・背番号2(第1ピリオド6分、7分)
佐々木ロベルト泉:品川CC パペレシアル・背番号7(第1ピリオド6分、9分、15分)
寺西一:品川CC パペレシアル・背番号19(第2ピリオド11分)

・M3 12:30キックオフ ソイエ葛飾 6-0 スフィーダ世田谷BFC
[得点者] 八木健太朗:ソイエ葛飾・背番号13(第1ピリオド5分、10分、第2ピリオド9分)
村田光優:ソイエ葛飾・背番号14(第1ピリオド11分)
辻一幸:ソイエ葛飾・背番号15(第2ピリオド2分、5分)

・M4 14:00キックオフ free bird mejirodai 1-0 品川CC パペレシアル
[得点者] 大元壮:free bird mejirodai・背番号23(第2ピリオド15分)

●最終順位
・1位:free bird mejirodai
・2位:品川CC パペレシアル
・3位:ソイエ葛飾
・4位:スフィーダ世田谷BFC

 

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