大会5日目、5月23日からはノックアウトステージ。IBSA(国際視覚障害者スポーツ連盟)公認、男子のIBSAブラインドサッカーエリートカップ2025と女子のIBSAブラインドサッカーワールドグランプリ2025 、あわせて「ダイセルブラサカウィークin うめきた」では男子の準決勝が、4日目と同じ組み合わせ、アルゼンチンとコロンビア、日本とタイの間で競われた。
日本対タイ:アジパラの借り借りを返す!PKを3-1でタイを撃破

PK前にリラックスした表情をみせる神山昌士
4日目と同じカードに準決勝。日本はGKを神山昌士に、永盛楓人に替わり平林太一がスタメンにはいり、GK神山、フィクソに齊藤悠希、左アラ川村怜、右アラ平林、ピヴォに後藤将起の布陣。対するタイは、GKとFPを2人替えてくる。ただ、初戦アルゼンチン戦のようにパニャウット・キパン(背番号7)とキィティコーン・ボーディー(背番号35)という両ストライカーを並べることはせず、ボーディーのみ。鋭い察知能力で前線へのフィードをカットしまくったソムチャイ・アゴン(背番号14)もベンチスタート。経験を積ませることにポイントをおいているようにも見える。

ファーストシュートは齊藤悠希。まずは挨拶代わりの一撃。
第1ピリオド開始より、齋藤が積極的にドリブルで持ち込みタイゴールで迫る。ボールコントロールもうまく体格でも勝る齋藤が全面にでることでかますという意図もあったのではないか。5分、相手ファールにより左フェンス前8mの位置でフリーキックを得る。キッカー川村がカットインからほぼゴール正面で右足一閃、ファサイド中段に飛んだボールはGKの伸ばした手を弾きゴールに吸い込まれる。川村の今大会初ゴールにより日本が先制する。
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川村らしい、隙間を穿つ一撃
タイも、ボーディーと彼に代わって入ったもう1人のストライカーパニャウット・キパン(背番号7)が、基本は1人で日本陣ないでクリアランスを待つ、ドリブルで持ち込むのを3人、4人で防ぎながら、タイ陣に入り込むという繰り返しで、主に平林がシュートを放つなど押し気味に進めて第1ピリオドを終える。

コーナーキック時のタイの素早い寄せ。
第2ピリオド、タイはボーディーとキパンという2枚のストライカーを並べ、より前がかりに攻めてくる。5分日本陣に侵入したボーディーを後ろから倒してしまい、8m地点でFKを提供する。ゴールを背にややニアよりに壁を作る日本。その逆をついてボーディーがゴールのどちらにでもシュートできるところにカットイン、左足でGKの左側jへシュートを放つ。GK神山の反応は間に合わずゴール。ゲームは1-1の振り出しに戻る。

ボーディーの歓喜!ミスをついて決めるのはさすが。
神山は「自分の壁の配置とセービング技術のミス」と振り返った。第1ピリオドよりも前がかりになるタイに対して、神山のゴールクリアランス、齋藤のパス、ドリブルでの侵入と多彩な攻撃でタイに迫るが、アゴンのカット、他の選手の素早い寄せもあり、第1ピリオドのように多くシュートを打てず。結局1-1で40分を終える。

今日は左右への切り替えしが数多くみられれた川村のプレー。踊るような動きが調子を語る。

40分通じて動き回り、日本チーム一のシュートを放った平林。

後藤もタイゴールに迫るも得点は遠く。次に期待。
3人がシュートを放ち、決まらなければサドンデスとなるPKのルール。日本は先行を選ぶ。1人目は「PKの神様」平林が、「情報がいっているとおもうから」と初戦のPKとは逆の右下に決める。タイはキパンが決めて1-1。次のキッカー後藤は、ボールから一歩下がって、蹴り出し右中段に決める。2-1。タイは第1ピリオドのみ出場のキッティタット・ウィモンワン(背番号9)を送り出す。神山は「予測をせずに、自分の反応を信じて」ゴールに立つ。左手で弾いた時点では少し後ろにボールがいったので「まずい」と思いったがボールはバーにあたり「私とゴール全体含めて守ったっていう形」で2-1となる。その後川村がきっちり中央高めに決めて3-0で勝利した。

もみくちゃにされる神山と選手たち。
平林は「やっていて楽しい試合だった」と興奮気味も、次の試合に向けての課題も冷静に語った。今大会の初得点の川村は、噴水のありなし、人の移動などで常に変わる環境への調整への苦労を語りながらも、「フルコンディションで本物のアルゼンチと争うことができるということでしっかり準備をしていきたい」と次の試合の抱負を口にした。22年アジア選手権 準決勝、2023年アジパラ3位決定戦と大事なところでPKで敗れたタイを下したことで、特に、アジパラでGKだった神山はこの勝ちは「やっぱり大きい、この勢いでアルゼンチンを倒したい」と語った。
アルゼンチン対コロンビア:アルゼンチンが貫禄の3-0でコロンビアを退ける

交代後すぐに2点目となるゴールを決めたリオスとガイドの抱擁
準決勝第1試合は、アルゼンチンとコロンビアの対戦。アルゼンチンはGKヘルマン・ムレック(背番号12)、フィクソにパディージャ、アラにフェデルコ・アカルディ(背番号3)とオズバルド・フェルナンデス(背番号8)、ピヴォにマクシミリアーノ・エスピニージョ(背番号7)のベストメンバ。コロンビアは、フィクソのフレディ・ロペス(背番号2)以外はすべて前日から替えて右にアレックス・マルティネス(背番号5)、アンカー的にジョン・エルナンデス(背番号7)、左にジョン・ゴンザレス(背番号9)。GKはヨハン・アルディア(背番号1)の布陣。

胸に手をあて国歌斉唱するコロンビア。ジョン・ゴンザレスは常にひざまづく。

エスピニージョ(左から2人目)、フェルナンド(同4人目)、パディージャ(同5人目)、ムレック(一番、右)がやはり不動の主軸
先日の試合と違い第1ピリオド3分にいきなり試合が動く。3分にフェルナンドが相手ボールを自陣でカットするとそのまま上がり、1人かわして相手ゴール右45度に侵入、6mの一度ファーサイドに低いボールを蹴り込み先制。その7分後、今度はエスピニージョに交代して入ったマリオ・リオ(背番号9)が、高めの位置のコロンビアDF3人のラインの裏をついてフリーとなりフェルナンドと同じようにファーサイド低めにシュートを決めて2-0とリードする。コロンビアの選手の隙をついた形でのゴールだ。

フェルディナンド(左)がファン・ペレスを押さえ込もうとする。ファン・ペレスはこの試合シュートを何度と放つも得点できず。
今度は第2ピリオド、5分またもフェルナンドが右サイドフェンス際からカット心してゴールから6mくらいでゴールファーサイド真ん中に蹴り込み3-0。これで勝負あったか。コロンビアの攻めは精彩を欠き、3-0でアルゼンチンが勝利を収めた。これで、アルゼンチンはフェルナンドが2点、1点決めたのがパディージャ、イトゥリア、リオスと誰でも点がとれる底力を見せつけた。気になるのはエスピニージョの得点がないこと。パリでは確かに決めた得点は1点だが放ったシュートは参加選手中1位だった。尻上がりにゴールに迫り、シュートを放つ機会が増えてきているのだが、、、。

ゴール前にボールを運ぶ回数はふえたがゴールが生まれないエスピニージョ(背番号7)。
決勝はアルゼンチン対日本に
個人的には、スッキリ勝ったことがないコロンビアとの試合がみたかった。アルゼンチンは東京パラ以降、勝敗だけをみると3-1と決して負けていない相手である。ただ、上記の得点パターンをみても誰もが得点を決める力を持っている。またタイのように壁でボールキープなどすることもすくなく動くサッカーをし、緩急織り交ぜて攻めてくる。どういった試合をするのか本当に楽しみだ。

日本対タイは30回近くあった壁際の攻防がどれだけみられるか?
選手たちは口々に「声援が力になる」「お客様が(プレーに)すごい喜んで盛り上がっていることは選手冥利に尽きる」と口にする。川村の代理ではないが、可能な方はぜひ「親類、友人を呼んできてほしい」。難しければぜひ、Youtubeで声援を送ってほしい。
そして、本日19時からは女子代表がオーストラリアと対戦する。こちらもぜひ応援しよう。
5/23 女子準決勝
15:00 アルゼンチン対イングランド
19:00 日本対オーストラリア
5/24 女子決勝、3位決定戦
12:30 3位決定戦
16:30 決勝戦
5/25 男子決勝、3位決定戦
12:30 3位決定戦 コロンビア対タイ
16:30 決勝戦 アルゼンチン対日本

会場運営の大きな力、ボランティアのみなさん。連日ありがとうございます!
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